イスラームの文化
現在わたしたちが世界共通で使っている星座は88個ありますが、
「プトレマイオスの48星座」とよばれる星座が基になっています。
今から約二千年前に天文学者プトレマイオスがそれまで古代オリエント使われてきた星座をまとめました。
これがプトレマイオスの48星座です。
しかし、その後繁栄したローマやヨーロッパの国々はこの星座たちを引き継がず忘れてしまします。
プトレマイオスの著書はギリシア語ですが、これがイスラームの世界でアラビア語に翻訳され48星座は生き残ります。
プトレマイオスの著書はアラビア語でアルマゲストと呼ばれました。
生き残ったアルマゲストが、だいぶ時間がたってルネサンスの時期のヨーロッパに伝わり、
48星座もヨーロッパに入って来ます。
これにいろいろな追加が行われ、国際天文学連合で88星座を定め、現在では世界共通の星座としてこれを使うことにしています。
結果として、私たちはこの88星座を使っているわけです。
この流れを図1にまとめました。
こうしてみると星座も数奇な運命を辿ったものだと思うかもしれません。
しかし、
星座がそのような運命を辿ったというよりは科学全体の地球上の流れがこのような道筋を辿ったというのが正しい理解です。
古代オリエント、そして、ギリシアで数学、天文学、哲学などが発展しました。
しかし、それは現在のヨーロッパの方向に伝播ぜず、
アラビアに伝わり、イスラームの文化のなかで科学が発展します。
今私たちが使っている、ケミストリー(化学)やアルコール、アルカリなどという言葉は、
アラビア語から来たものであることがそれを物語っています。
わし座のアルタイル(彦星)やおうし座のアルデバランのようにアルがつく言葉はアラビア語であることが多いです。
アルハンブラの思い出という有名なギターの曲がありますが、このアルハンブラも
アラビア語です。
(テロ組織のアルカイダもアルがつくのでなるほどですね。)
図2は当時の研究の素晴らしさを物語るものの一つで、
サマルカンド(現在のウズベキスタン)にあるウルグ・ベク天文台の測定装置の遺跡です。
プトレマイオスをさらに一歩進めた研究や観測が行われました。
14から15世紀に入り、イスラームの文化がヨーロッパにもたらされ科学は次の発展のステップを見つけます。
いわゆるルネサンスです。
科学の発展の大波、あるいは海流のようなものが地球上にあって、
そこに浮かぶ小舟の一つに星座たちも乗っているのです。
星座という小舟を追跡すると自然と大きな科学文化の流れを見つめることになります。
画像をクリック(拡大)
図1 星座の旅
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/564-fig1.jpg
画像をクリック(拡大)
図2 ウルグ・ベク天文台(https://en.wikipedia.org/wiki/File:Ulugh_Beg_observatory.JPG)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/564-fig2.jpg
本文終わり
パワポ
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/564-fig.pptx
references will be note-564