孤独な原子の宇宙旅行
私は、
図1のような星雲の中にある原子になって宇宙旅行することを想像するのが好きです。
星雲は原子や分子からなる気体です。
宇宙空間に最も多い分子は、
水素分子、一酸化炭素分子や水分子です(図2)。
原子では水素原子が最も多く存在します。
そんな原子や分子になったつもりになるのです。
仲間の原子や分子は私の近くにいるのでしょうか。
宇宙空間の原子や分子の平均密度は1立方センチメートルあたり1個くらいです。
図1の濃いところでは、100個だったり1万個だったりもします。
ひしめいている感じもしますが、原子や分子は小さいのでそうでもありません。
温度は普通1万度くらいで高温です。
この温度ですと、
原子や分子になった私が宇宙空間を飛行する速さは毎秒10キロメートルくらいです。
かなり早いですね。
さて、私が宇宙空間を進んで、別の原子に出会うまでの時間はどれくらいでしょう。
散歩を始めて、道で誰かに会うまでの時間がいくらかというのと同じ考えです。
普通の散歩ならすぐに人や車に出会ったりしますが、山の中だとなかなか人に会うことはないでしょう。
1万度くらいの温度で、密度が1立方センチメートル当たり一個として計算すると、
約1億キロメートルくらい進んだところ、時間にして150日くらいで出会いがやってきます。
宇宙空間での原子や分子の出会う頻度というのはこんなものなのです。
原子や分子が出会って反応すれば面白いですね。
宇宙空間で水素原子と酸素原子が出会うと水ができるでしょう。
実際、宇宙空間のガスの中に200種類以上の分子が見つかっていて、
その中にはみなさんがお酒としておなじみのエチルアルコールも含まれています。
先ほどの計算は原子や分子の出会う頻度でしたが、
出会っただけでは新しい分子ができる反応がおきたりするわけでなく、
分子ができる確率はもっと低いものです。
図1の中でも最も密度が高く、温度が低いところでは出会の頻度も高く、
きっと効率よく水などの分子が作られているのでしょう。
私はあまり出会わないのんびりした宇宙旅行の方が好きですが。
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図1 干潟星雲(いて座) (提供:NASA)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/573-fig1.jpg
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図2 宇宙空間の原子や分子
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/573-fig2.jpg
本文終わり
パワポ
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