秋の空はさみしい 秋も深まって寒いと感じる日も多くなりました。風邪など ひかぬよう御注意ください。秋の夜空は明るい星が少なく て心細さが星を見ていてもしみわたります。「上をむいて 歩こう、涙がこぼれないように」という歌詞もありますが、 秋の空では余計涙がでそうです。 10月20日夜8時頃の南の空の様子を図1に描いてみました。 星だけでは見栄えがしないので星座を書き込んであります。 今年は西に傾いた木星が見えているのがちょっとほっとし ます。南の空低く一等星がひとつだけあります。これを日 本では「秋のひとつぼし」と呼んでいます。西洋では「み なみの魚」座に属し、「フォーマルハウト」と呼んでいま す(アラビア語で魚の口の意味です)。 一等星が少ない様子を調べてみましょう。南を向いて高さ 80度くらいまで左右は160度くらいを見渡したとして、何個 一等星が見えるかを季節毎に数えてみました。毎月16日に見 たとしました。結果は図2に示してあります。寂しい南の空は 春(5月)と秋(10月)に現われることがわかります。やはり数字 の上でも今月は寂しい夜空であることがわかりますね。秋の ひとつぼしはひとつしかないという意味では見つけやすいと 思います。じっくりご鑑賞ください。 第57回でも触れましたが、この季節でもすこし西に傾いてい ますがかなり高く夏の大三角が見えています。そちらも見て みましょう。ここに3つの一等星があります。また、夜なべ 仕事をして夜半を過ぎると冬の星座であるオリオン座が昇っ て来ているのが見えるはずです。 図1 秋の南の空(10月20日午後8時半頃) (アストロアーツ、ステラナビゲータを用いて作図) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shiata/yamashin/59-fig1.jpg 図2 南の空に見える月別の星の数 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shiata/yamashin/59-fig2.jpg