3連巨大ブラックホール
巨大ブラックホールの撮影に成功したというニュースは大きな反響を呼びました。
今度は、 巨大ブラックホール三つがまさに衝突合体の直前の状態で見つかったというお話です。
図1には三つのブラックホールが写っていて、この三つがまさにこれから合体しようとしています。
巨大ブラックホールが合体するとさらに大きくなって超巨大ブラックホールになることでしょう。
この天体の名前は、 SDSS J0849+1114です。
約10億光年彼方にあります。
中央のややぼやけた画像はハッブル望遠鏡とスローンデジタルスカイサーベイによる画像で、
互いに接近した三つの銀河が写っています。
赤外線などの観測から、
これらの銀河は相互に力を及ぼしながら合体しようとしていて、
それぞれの持つブラックホールに向かってガスが吸い込まれていることがわかりました。
図1の中央部分の四角で囲った部分をチャンドラX線望遠鏡で撮影したものが左下に示されています。
明らかに三つのひかるブラックホールが見えています。
現在存在する巨大ブラックホールの数と大きさを説明するにはこの様な3つの衝突が重要と考えられています。
三つの合体は非常に珍しい現象ですが、どの様にして見つけられたのでしょう。
そこには、市民天文学という新しい世界があります。
市民天文学の先駆けとなったものに、ギャラクシーズ(銀河の動物園)と呼ばれるプロジェクトがあります。
インターネット上にたくさんの夜空の画像があって、そこに写っているたくさんの銀河を見て、
今回の様な特別な銀河を探したり、たくさんの銀河を分類したりするという、ちょっぴりゲーム感覚の仕事を、
市民ボランティアで行います。
誰でもインターネットでできる天文学です。
世界で3万人以上の人が参加していています。
今日現在、全データの22パーセントの調査が終わっていますが、まだまだ未調査の画像が残っているそうです。
この珍しい3つのブラックホールの合体はこのギャラクシーズーの中で見つかりました。
誰でも参加できるので皆さんも参加してはどうでしょう。
最近は、銀河だけでなく、チンパンジーやゾウ、野鳥、昆虫など色々な生物の生態をビデオ画像から調べるものや、
シェークスピアの手書きの文書の中から新しい言葉を見つけるプロジェクトなど様々な分野についての市民科学の活動がされるようになっています。
(興味のある方は、
https://www.zooniverse.org/projects/zookeeper/galaxy-zoo/
をご覧ください。)
画像をクリック(拡大)
図1 三つのブラックホールの合体(提供:NASA)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/590-fig1.jpg
本文終わり
パワポ
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/590-fig.pptx
references
https://chandra.harvard.edu/photo/2019/3blackholes/
astro-ph 1908.01732v3 by Pfeifle et al., 2019
/Users/shibata/Desktop/ss/ref/bibitems/1908.01732.pdf
https://www.zooniverse.org/projects/zookeeper/galaxy-zoo/