パルサーの不思議な振る舞い
地球にはオーロラという美しく、また、不思議な現象があります。
地球の磁石のN極とS極の周りに極冠という領域があります。
そこに降り込み、出て行く電流の根元の大気で美しい発光現象があります。

パルサーと呼ばれる種類の星も地球のオーロラに似た状況になっています。
図1aの様です。
オーロラ同様に降り込む電流と出る電流があり、電流に沿って強い電波が出ています。
電波は外向きに強いビーム状になっていて、図1bの灯台の様に星の自転とともにビームがくるくると回転しています。
地球から見ると周期的なパルスとして電波が受信されます。
図1cはパルサー発見時(1967年)の記録なのでわかりにくいですが、赤い矢印を追っていくと確かに規則的にパルスが来ています。
心電図みたいですね。

最近面白いパルサーが見つかりました。
回転軸に対して磁石が横倒しになっていて、一回転で二回パルスが来ます。
図2aではメインパルスMとインターパルスIが交互に見えますね。
磁石のN極とS極の両方が地球から見えているということになります。
ところが星は一時間ほどすると気分を変えて、メインパルスが強烈になり、インターパルスが消えます(図2b)。
しばらく時間が経つとまた元の状態に戻り、これを繰り返します。
回転軸や磁極はそう簡単に変化するものでないので全く不思議なことです。
遠く離れたN極とS極が同時に変化するのも不思議です。
今研究しているところなのですが、これは極冠に流れ込む電流が増えたり減ったり、
経路を変えたりしているのないか、というのが私の考えです。
図3の点線の部分の電流が変化しているのかなと思っています。
まだ実証していない研究中のアイデアなので非公開のはずですが、楽しそうなのでここに書いてしまいました。
研究結果が出たらまた書きます。お楽しみに。


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図1 パルサーからの電波パルスの概念図 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/593-fig1.jpg
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図2 新しく見つかったパルサーB1822-09からのパルスの変化 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/593-fig2.jpg
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図3 電流の流れ方(想像図) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/593-fig3.jpg
本文終わり
パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/593-fig.pptx references will be note-593