球状星団 宇宙のマリモ? 梅雨のころ、雄者ヘルクレスにちなんだヘルクレス座が 良く見えています。ヘルクレス座には M(エム)13とよば れる球状星団があります(写真)。球状星団はその名の通り球形に星 が分布している星の集団です。星の数は数十万個におよ びます。肉眼でも条件が良ければ「光るもの」としてみ つけられる明るさですが、実際問題としては双眼鏡を使 うと存在が確認できると思います。(図参照) 小さい望遠鏡ではまるくてボーと光るものとしてみえる ので、ある星空案内人の発案で、やまがた天文台では 「マリモちゃん」というあだ名で呼んでいます。確かに、 望遠鏡の向うに見える球状星団は宇宙に浮いたマリモの ようです。 これまでに100個以上もの球状星団がみつかっています。 そして大抵は非常に古いもので100億年もむかしにできた ものです。天の川もまだできていなかったむかしの話で す。まさに、天然記念物です。近所の公開天文台を訪問 したらぜひリクエストして観察しましょう。 球状星団の中心付近は星が密集しているので、一つひと つの星を確認するには口径の大きな望遠鏡が必要です。 世界最大級の望遠鏡を使えば中心付近の星もしっかり見 えてその運動速度も測れるほどです。今後、そのような 観測が進めばおもしろいことになるかもしれません。と いうのは、この球状星団の中心に太陽の1000倍もの重さ をもったブラックホールがあるのではないか、という説 があるからです。ブラックホールの回りにびゅんびゅん 高速で公転する星がみつかればブラックホールのある証 拠です。いつか、新聞紙上にそのようなニュースが発表 になるかも知れません。注意深く待ち構えることにしま しょう。 写真 (やまがた天文台にて撮影) 図 ステラナビゲータ(AstroArts Inc)を用いて作成