ブラックホールからの超光速運動
昨年、ブラックホールの映像が話題を呼びました。
そのブラックホールから噴き出してくる物質の速度が光の速さの6.3倍にも見える超光速運動現象が発見されました。
これは、ハーバードスミソニアン天体物理学センターのシノスさんらのグルーによって公開された図1の画像から求められました。
図1の右下の2012年と2917年の二つの観測から光の塊の移動距離を求めて速度を計算します。
このM87という銀河のブラックホールまでの距離は5500万光年です。
実際は、物質の運動速度は光の速さよりも早くなることはできないのですが、
速度が非常に光の速度に近い場合、
見かけ上光の速さを超えて見える超光速現象が起こることが知られています。
これが見えれば、物質の運動速度が光速に近い証拠とされます。
ここで昨年話題になったブラックホールの画像との関係をはっきりさせておきたいと思います。
図1で左のブラックホールから細長く延びるジェット流の流れは千光年ほどの大きさです。
これを電波干渉計で調べたのが図2で、日本の国立天文台の羽田さんのグループによる観測です。
これを見ると、
左のブラックホールから出るジェット流が1.3光年のサイズまで拡大して見えています。
ブラックホールの部分をさらにクローズアップして、0.011光年の大きさのリング状の光が見えるようにしたのが、
有名なブラックホールの画像です(図2の左上)。
中央の暗い部分に太陽系がすっぽり入ります。
図1と図2のスケール差はざっと10万倍にもなります。
ブラックホールという小さい天体とそれを含む銀河という大きい天体とのスケール差は1億倍にも達します。
スケール幅の広さが大きな困難で、
非常にミクロで精密な研究から全体を見るマクロな研究を同時に行わないと宇宙は理解できません。
これは環境問題なども同様で、一人の人間の行動から、世界の数十億人の動きまで、
10億倍のスケール差を含んだ総合的問題です。
これらはどれも難しいチャレンジングな課題ということができるでしょう。
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図1 M87銀河のジェットの画像(提供:NASA)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/604-fig1.jpg
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図2 電波によるブラックホール近傍の画像(提供:EHT Collaboration、および、日本天文学会欧文報告PASJ, 69巻4号)
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本文終わり
パワポ
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references
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/604-ref1.pdf
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/604-ref2.pdf
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/604.f