星の中を覗きたくなる
オリオン座のベテルギウスという明るい一等星が急速に減光し、
2等星になってしまいそうだというニュースがインターネットなどで流れています。
図1を参考にして、
今晩、午後7じ頃の南の空でベテルギウスを見つけてみましょう。

ベテルギウスはいつ超新星爆発してもおかしく無いと言われているので、
超新星爆発の前兆でないかという人もいます。
しかし、ベテルギウスの明るさが変わることは昔から知られていて、
例えば、昔の記録を図1の下に示しました。
0等星と2等星の間を行ったり来たりゆらゆらしているのがわかります。

なので、暗くなったからといって超新星爆発かどうか判定がつきません。
もし爆発するのであれば星の中は図2のように元素が玉ねぎのように層状構造をしていて、
真ん中には鉄の中心核が形成されているはずです。
星が誕生してから鉄の中心核ができて最後に超新星爆発するまで、ベテルギウスのような星ですと、数百万年かかります。
最初は水素ばかりの星が徐々に変化して図2のようになるのですが、最初はゆっくりした変化で、
最後の鉄ができるのはわずか数週間の出来事です。
しかもその様子は外から見ていたのでは全くわかりません。
超新星爆発がもうすぐ起こるかどうかは星の内部を見ないと予測できないのです。
では、星の内部を見る方法はあるのでしょうか。

図3はリモコンから一種の光である赤外線が放射されてエアコンをコントロールする様子です。
リモコンの前に白い紙をおいて光を防いでいるのが左の絵、透明シートを置いたのが右の絵です。
紙は不透明ですから、人間の目ではエアコンが見えません。
ところがどちらの場合もリモコンでエアコンが操作できます。
つまり、赤外線にとっては紙は透明なのです。

ニュートリノと呼ばれるものを使うと星が透明に見えることがわかっています。
ですから、光で星を見ても星の内部は見えないのですが、ニュートリノで見ると星の中心の様子がわかるのです。
現在、高性能のニュートリノ望遠鏡が世界で競って開発されているので、
いつの日にか星の内部が見えて超新星爆発が予測できる日が来るでしょう。





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図1 1月5日夜7じ頃の南の夜空。 (明るさのグラフは Chiavassa さん他(2006)の研究による) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/605-fig1.jpg
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図2 超新星爆発前の星の内部 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/605-fig2.jpg
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図3 白い紙は、リモコンからの光(赤外線)にとっては透明です。 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/605-fig3.jpg
本文終わり
パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/605-fig.pptx references (1) Radiative transfer in snapshots of 3D radiative hydrodynamic models of red supergiants \bibitem[Chiavassa et al.(2006)]{2006EAS....18..177C} Chiavassa, A., Plez, B., Josselin, E., et al.\ 2006, EAS Publications Series, 177 https://ui.adsabs.harvard.edu/abs/2006EAS....18..177C/abstract 605-ref1.pdf