ろくぶんぎ座
ろくぶんぎ座という星座があります。
耳慣れない星座だと思います。
ろくぶんぎの「ぎ」は地球儀、赤道儀などという時の儀で、
天体に関連した測定機器によく付いています。
六分儀、四分儀、八分儀があってどれも星座になっています。
四分儀は現在では使われなくなってしまいましたが、
あとの二つは現在も使われています。

名前の由来は円周の1/4, 1/6, 1/8 の扇型であることによりますが、
いずれも、星の高さを精密に測ることのできる機械です(図1)。
原理としては分度器に重りを吊るして、星を狙って星の高さを測るのですが、
たとえば、大海原で揺れる船の上でも精密に測定ができるように工夫されています。

どこかに出かける時、
スマホの地図の道案内(ナビゲーション機能)を使う方も多いのでないでしょうか。
18ー19世紀、
世界を巡る船による貿易が盛んになり、海軍による海の支配も重要になってくると、
大洋を正しく移動できるナビゲーションシステムが必要になりました。
船の位置がわからず座礁するなどの大事故が多発していたのです。
海に出ることは非常に危険なことでした。

ジョン・ハドレーという人が1731年に非常に性能の良い六分儀を開発しました。
さらに、船の上でも正確に動く時計が同じ頃開発されます。
これらと月や星の運動を計算した天体表(暦)を組み合わせることで
非常に正確に船の位置がわかるようになり、問題が解決しました。
飛行機でもこの星を使ったナビゲーションが使われました。

現代では電波を使い、GPS衛星の信号から位置を計算できます。
スマホも同じ仕組みです。

では、今晩、真南もっとも見やすい位置にろくぶんぎ座が見えていますので見つけて
みましょう(図2)。
残念ながら明るい星がありません。
双眼鏡で図の緑色の三角形が見つけられれば成功です。










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図1 六分儀(® Museo Galileo, Italy 提供:ガリレオ科学館) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/616-fig1.jpg
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図2 4月中旬午後七時半ころの夜空 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/616-fig2.jpg
本文終わり
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