天空神は男か女か
天地創造の神話では、天空神と大地神がペアで現れるのが普通です。
天と地が対になるのは自然ですが、どちらが男神でどちらが女神
になるのが良いと思いますか。
恵の大地といいますから大地は新たな命を育むイメージあります。
すると大地神は女性のイメージですね。実際、おとめ座の神話に出
てくるデメテルは大地母神です。娘のペルセポネは冥界の王ハデス
に誘拐されますが、いろいろあって、結局は、半年をハデスのもと
で過ごし、もう半年は母のもとで過ごすことで決着します。この話は、
植物の種が半年は地中で、もう半年は地上に出てきて花が咲き実がな
ることの例え話になっています。
インドでは天空が男神ディヤウス、大地が女神プリトヴィーでこちらも
「天父地母」のパターンです。
例外なのがエジプトです。まず、太陽神アトゥムが最初にこの世界に
ひとり居て、口からしゅーと大気の神シューと湿気の神テフヌトを生
みます。もうひと柱、ラー神がいますが、これはアトゥム神と同一の
ものです。シュウとテフヌトの間に、天空の神ヌトと大地の神ゲブが
生まれます(図1)。最初、ヌトとゲブは抱き合っていましたが、シュウ
が間に入って二人をわけ、天空と大地が確定します。
これを表したのが図2です。ヌトとゲブの間に、オシリスとイシスの
ペアとセトとネフティスのペアが生まれます。以上が有名な「ヘリオ
ポリスの大九柱神」と呼ばれるものです。
エジプトでは天空神ヌトが生命を司る神です。
太陽は東から出て西に姿を消す、つまり死をむかえるのですが、それ
を再生し、ふたたび翌日東の空から太陽が昇ります。太陽を再生する
仕事をヌトがしているのです。このようイメージから、エジプトでは
天空神ヌトが女神になったものと思われます。
夜になると天空には星が輝くのでヌトの体にはたくさんの星マークが
付いていますね。これは天の川のイメージでしょう。
夏に向かって夜遅くなると天の川が頭上を流れるようになります。
古代エジプトの人が考えた図2のように、女神ヌトが大地に覆いかぶ
さっているように見えたりしないでしょうか。この夏はじっくり観察
してみましょう。
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図1 エジプトの「ヘリオポリスの大九柱神」
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図2 天空の神ヌトと大地の神ゲブ、それを支えるシュウ神。(出典:星空案内人になろう!」柴田晋平ほか著、技術評論社)
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本文終わり
パワポ
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