夕暮れのふたつの明るい星

日が沈むと南西の空に非常に明るいふたつの星が見えています。
気がついていない方は、すぐに見つかりますから、ぜひ空を眺
めてみてください。図1のような景色が見えるはずです。

低い方の明るい星が金星、高い方でより暗いのが木星です。
金星の明るさですが非常に明るくてマイナス4等星、木星の方はマイナス2等星です。
金星の光量は木星の約6・3倍に達します。

太陽のまわりを回る惑星の内、太陽に近い方から、水星、金星、
地球となりますので、金星は地球からは近い惑星です。
地球の外側をまわるのは、火星、そして、その外が木星です。
現在、金星までの距離はほぼ1天文単位です。
1天文単位は、約1億五千万km で、これは太陽と地球の間の距離
です。ということは現在、地球、太陽、金星がちょうど二等辺三角形を作っている
ことになります。これからどんどん金星と地球のあいだの距離は
縮まって、来年の3月末には0・3天文単位くらまで近づきます。

現在、地球から木星までの距離は約五・八天文単位です。
しかし、天文単位で言ってもキロメートルで言ってもピンとこないかも
しれません。例えば、地球から金星まで電波で通信したとして、
「もしもし」という信号を発して、金星にその信号が伝わるまで8分19秒
かかるといったら少しは理解しやすいでしょうか。地球上で通信しているときは
電波の伝わる速さが有限だと言うことは気づきにくいですが、
惑星間通信ではとても感じることになります。

電波の伝わる速さは、光の伝わる速さと同じ毎秒30万km です。
光も電波もおなじ電磁波だから、真空中を伝わる速さも同じです。

では木星への通信に要する時間はというと、現在の木星の位置では
なんと48分もかかります。たとえば、木星に飛んでいった宇宙船に
写真を撮影する命令を送ったとしても実際に撮影されるのは48分後ということに
なります。ずいぶんと遠い距離ですね。
金星まで8分とすこし、木星まで48分です。このことを公転軌道の様子を
含めて図2に描いてみました。これを頭におきながら日没後の金星と木星の
姿をお楽しみください。


図1 午後6時頃の南西の空の様子
(アストロアーツ・ステラーナビゲータを用いて作成)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shiata/yamashin/63-fig1.ppt
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shiata/yamashin/63-fig1.jpg
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図2 金星と木星と地球の距離関係
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shiata/yamashin/63-fig2.ppt
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shiata/yamashin/63-fig2.jpg
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