人類はこれまでに大きな気候変動やパンデミックに襲われ
ながらも頑張って生きてきたのですが、時には地球を逃げ
出したくなることもあるでしょう。では、地球が住みにく
くなったら地球と同じような他の星へ移住できるでしょう
か。これまでの天文学の成果を使って、移住可能な星まで
の距離を推計してみました。

この広い宇宙にはたくさんの星があります。近年わかって
きたことですが、ほとんどの星の周りには惑星が回ってい
ます。そのなかでも、地球に似た惑星もあって、リストも
発表されています(図1)。

といってもどの星でも良いというわけでなく太陽と同じよ
うな星の周りでないと生きていけません。太陽より大きい
と表面温度が高く紫外線が強すぎますし、小さいと植物が
育つのに必要な可視光線が足りません。では、ちょうどい
い太陽くらいの星はどれくらいあるかというと、1万立方
パーセクあたり約20個ほどであることがわかっています。
1立方パーセクとは一辺が3.26光年の立方体の体積です。

現在の研究結果をみると、地球くらいの大きさで気温もち
ょうどいい惑星を持つ星は全体の0.7%ほどだと考えられま
す。以上の数字があれば、移住先の星が大体地球からどれ
くらいの距離にあるかが計算できます。実際計算してみた
結果は、84光年でした。

先日、火星探査機が種子島から打ち上げられましたね。ま
た、小惑星には探査機「やぶさ2」が行きました。これら
の宇宙船の速さは光の速さの約1万分の一程度ですので、こ
の速さの宇宙船を用いれば私たちの移住先へは84万年かか
ることになります。

これは、到達可能な距離でしょうか。とてもいけそうにな
い距離ですが、かといって、絶対無理ということも言えな
い距離ですね。みなさんがよく知っているおりひめ星やひ
こ星の距離と目標である84光年を図2を見ながら比較してみ
ましょう。はくちょう座の翼の位置にあるアルジェナーは
移住目標と同じような距離にあります。

移住は簡単でないことがわかったので、まずは、地球環境
を守り、パンデミック対策を頑張るのがよさそうです。


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図1 現在知られている居住可能性のある太陽系外の惑星 提供 http://phl.upr.edu/ プエリトリコ大学アレシボ校 (Planetary Habitability Laboratory) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/630-fig1.jpg
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図2 星の距離の比較 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/630-fig2.jpg
本文終わり
パワポ http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/630-fig.pptx references [1]銀河系と銀河宇宙, 岡村定矩著, 東京大学出版会, 1999 [2]http://phl.upr.edu/projects/habitable-exoplanets-catalog [3]https://exoplanets.nasa.gov/