S字状星雲
私のイニシャルのSの形をした星雲があります。
明るい星雲ではなく、暗黒星雲といって暗い星雲です。

いて座、さそり座、へびつかい座のあたりは天の川が一番明
るく、星や星雲でいっぱいですが、その中に墨を流したよう
に黒くみえるところがいくつもあります。暗黒星雲と呼ばれ
ています。天の川の中に帯状に暗黒星雲が連なっているので、
天の川の中洲といったところでしょうか。

宇宙空間は宇宙の空気とでも呼べる希薄な気体で満たされて
います。地球では空気中の水分が冷えると水滴や氷の粒にな
って雲が形成されますが、宇宙空間でも宇宙の空気が冷える
と小さな個体の粒が形成され雲が形成されます。
粒は砂ようなもであったり氷やドライアイスのようなもので
あったりです。専門用語では星間ダストと呼んでいます。
このダストの濃いところは遠くの背景の星の光を遮断するた
め、黒く墨を流したように見えるのです。

では実際の様子をへびつかい座の写真で見てみましょう(図1)。
図の中央やや右上にSの文字に見える暗黒星雲が見つかりますか。
これがS字状星雲です。

実際の夜空ではどこになるかというと、今晩午後8時頃の夜空
の図2をご覧ください。まず、南東の空に特に明るい木星、
その東側にやや暗い土星、西側に赤い色をしたさそり座の
アンタレスが見つかります。ここまでは簡単に見つけられます。

アンタレスから上に目をやると大きな将棋の駒の形が見つかる
と思います。頂点がへびつかいの頭にあたる星で「ラスアルハゲ」
という星です。蛇使いの頭が剥げているわけではなく、アラビア語で、
ラスが頭、アルハゲは蛇をつかむ者といういみです。
へびつかい座の南の端、青い四角で示したのが図1の場所です。

人口の光の無い暗いところに行けば、たくさんの暗黒星雲を
天の川の中に見つけることが可能です。
どこか良い場所を見つけて観測してはどうでしょう。





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図1 S字状星雲付近の天の川(提供:ESO(ヨーロッパ南天天文台) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/631-fig1.jpg
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図2 8月5日 午後8時頃の南の空 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/631-fig2.jpg
本文終わり
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