ガーネットスターとウイリアム・ハーシェル

ガーネットはざくろ石とも呼ばれる赤が綺麗な宝石です。
宇宙にも「ガーネット星」とよばれる赤くてとても美しい星があります。
地球から約六千光年も遠くにあって、太陽の十万倍の明るさをもっています。
半径も巨大で、約九億キロメートルに達すると言われますので、
太陽系においたならば、地球はもちろん木星の軌道を飲み込んでしまいます
(図1)。

ガーネット星の名付け親は天文学者のウイリアム・ハーシェル(1738-1822)です。
ハーシェルといえば、天王星を発見した人、 あるいは、
星の分布から私たちの銀河系の形を描き出した人、
直径122センチメートルの巨大望遠鏡を作った人として有名な天文学者です。

ハーシェルは音楽家の家に生まれ、オーボエとバイオリンを得意としました。
15歳の時には父の軍楽隊に参加してたと言います。
生まれはドイツですが英国に渡り音楽教師などしながら、
28歳の時にあるチャペルのオルガン奏者、合唱指揮者として定職に就き英国に住むことになります。


母の反対を押し切って末の妹のキャロラインを英国に呼び寄せます。
女子は家事だけで良いとの方針できちっとした教育を受けられなかったキャロラインに声楽を教え、
キャロラインは歌手として活躍するようになります。

英国で住むようになってからハーシェルは天文観測に興味を保つようになり、
自分で望遠鏡を作り自ら観測を始めました。
妹のキャロラインも手伝います。
アマチュアとして出発したハーシェルですが膨大な観測の成果が知られるようになり、
立派な天文学者になりました。
1781年、王立協会はハーシェルにコープリーメダルを授与します。
ダーウィンやファラデー、アインシュタインも受けた非常に名誉ある賞です。

ハーシェルの報告書には、
深いざくろ色の望遠鏡で見てもっとも美しい星があると紹介されています。


図2を使ってみなさんもガーネット星を見つけてください。
4等星なので都市部で肉眼で見つけるのは難しいかもしれませんが、
双眼鏡があれば見つけることができるでしょう。
(不規則な変光星でたまに暗くなることがありますが、
そのときは、一年中見えていますので時期を変えて見てください。)
北を向いて立ち、頭上にベガとデネブという一等星を見つけます。
ちょうど中程の高さに北極星があり、その右手にW型をしたカシオペヤ座があります。
他に目につく星は、北極星の左上のコカブ、
ベガの近くあるりゅう座の二つの星(竜の目)です。


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図1 ガーネット星と太陽系の大きさの比較 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/637-fig1.jpg
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図2 9月中旬、午後8時頃の北の空 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/637-fig2.jpg

本文終わり
パワポ http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/637-fig.pptx references

https://www.aavso.org/vsots_mucep in the Philosophical transactions of the Royal Astronomical Society of London (1783), in the section called, "Stars newly come to be visible" on page 257 William Herschel writes:
A very considerable star, not marked by Flamstead, will be found near the head of Cepheus. Its right ascension in time, is about 2'19" preceding Flamstead's 10th Cephei, and it is about 2o20'3" more south than the same star. It is of a very fine deep garnet colour, such as the periodical star o ceti was formerly, and a most beautiful object, especially if we look for some time at a white star before we turn our telescope to it, such as a cephei, which is near at hand.