中秋の名月と月の誕生

明日10月1日は旧暦の8月15日で、中秋の名月です。
芋名月とも言います。今年の芋煮はもういただきましたでしょうか。
図1を参考にお月見をお楽しみください。
月の左側に大接近している火星、南の空には土星と木星が見えています。

かぐや姫のお話は月の世界と人間の世界を結ぶ創作の物語ですが、
一方で、科学者は月の誕生の物語を、これは創作でなくて観察と計算を駆使して、作っています。

月の誕生の物語は大雑把なシナリオがほぼできていますが、
最後の詰めのところで悩んでいるのが現状です。

図2左はスポーツなどでお馴染みのトーナメント戦の図です。
この図で惑星の形成を考えると理解しやすいと思います。
小さな砂つぶのような微惑星が一回戦のところでぶつかって合体し、
少し大きな砂つぶになります。
二回戦目でぶつかって合体しまたすこし大きくなり、、、と回をかさねるとごにサイズが成長していきます。
最後の決勝戦にあたるところでは惑星になる一歩手前の大きなものがぶつかり、
これをジャイアント・インパクト(巨大衝突)と呼んでいます。
このジャイアント・インパクトの時に月ができたと考えられています。

図2右をご覧ください。
1.で惑星の卵AとBが斜めに衝突します。
2. 一部の岩は非常に高温の岩石気体になって、
地球の周りを取り巻く円盤を形成します。
3. この円盤が冷えて一つの塊に成長して月になります。

図では、Aを青、Bを黄色で表し、合体したものは青と黄がうまく混ぜ合わさって、緑になったとして描いていますね。
しかし、二つがうまく混ざり合うとはかぎりません。
ぶつかり方やAとBの大きさ、Aが岩石なのかマグマなのかなど
いろいろ条件を変えると、
地球にはAの成分が多く、月にBの成分が多いということもあります。
つまり、一番右下の図ように地球は青っぽく月は黄色っぽい状態。


最近になって月の石と地球の石の成分分析の精度が向上し、
その結果、AとBの物質がものすごく均一に混ざっていることがわかってきたそうです。
綺麗に混じるにはどのような条件でジャイアント・インパクトが生じたのか。
この問題を解決するために様々な研究がされていますがまだ結論が出ていません。
月誕生のシナリオの完成にはもう少し時間がかかるようです。

お月見をしながら、
地球はお母さんで、共通の遺伝子をもった赤ちゃんが月かなと思いました。


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図1 10月1日午後7時半ころの夜空 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/639-fig1.jpg
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図2 月の形成シナリオ http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/639-fig2.jpg
本文終わり
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