タイトル

小惑星リュウグウから物質を採取して「はやぶさ2」が12月に地球に帰還します。
「はやぶさ2」自身は軌道を変えてまた別の小惑星へ旅立ちますが、
採取したサンプルは地上に落下させそれを回収します。

しかしその前に、
撮影した画像などからリュウグウについていろいろなことが既にわかってきていることを最近知って嬉しくなってしまいました。

図1左は撮影されたリュウグウの写真で、形が球形でなくてそろばんの珠の様で面白いですね。
図1右の球形との比較でわかるように、斜面になっているところで地滑りがおこります。

青く色付けた峰の部分は新しく露出した岩であると予想されます。
小惑星の表面は太陽の光を受けて風化して性質が変わってしまうのですが、
峰の部分からサンプルが取れれば風化していない物質が採取できます。
実際、はやぶさ2はこの峰の部分を狙って採取したそうです。

NASAも少し遅れてオサイリス=レックスという探査機を小惑星ベンヌに送りこんで似た研究をしています。
NASAの方が大きな予算で大きな探査機を使っていますので日本は負けそうです。
しかし、
「はやぶさ2」を用いた研究を推進している杉田精司さん(東京大学)の講演を聴く機会があり、
NASAに負けない日本が誇れるポイントがあるということを知りました。
それはリュウグウに弾丸を打ち込み人口クレータ(大きな穴)を作って、
より深いところにある物質を採取することができたことです。
これはNASAではやっていません。

小惑星リュウグウはどこからやってきたのでしょう。
図2は太陽系の惑星の太陽からの距離を示しています。
木星と火星の間に大きな空間が空いています。
実はここにはかつて惑星があって水も豊富に含んでいたようです。
それが天体衝突により壊れます。
破片がたくさんの小惑星になるのですが、
その中の小惑星ポナラかオイラリアかどちらかがリュウグウの母天体のようです。
炭素質で成分が似ているのです。
しかし話は複雑で、この母天体が他の小惑星から衝突を受けた時にできた破片があつまって子天体が
できます。
それがまた衝突によって破片が飛び散り、破片が集まって孫天体を作ったようです。
この孫天体が衝突を受けて飛び散った破片の中でリュウグウができたと予想されています。

さてこの予想は正しいでしょうか。
12月のはやぶさ2の帰還を楽しみに待ちましょう。


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図1 (右)小惑星リュウグウ(提供:JAXA) (左)矢印は地すべりの起こる方向 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/643-fig1.jpg
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図2 惑星の太陽からの距離の比較(地球と太陽の距離を1として) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/643-fig2.jpg
本文終わり
パワポ http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/643-fig.pptx references will be note-643 http://www.isas.jaxa.jp/topics/002368.html小惑星リュウグウの軌道の進化史(after Jaxa) http://www.isas.jaxa.jp/topics/002089.htmlリュウグウの表面地形、多色画像、熱物性から探る母天体の進化(after Jaxa) Kuiper, J. and Borg, L.E. 2019 Nature AstrnomyThe great isotopic dichotomy of the early Solar System