軒轅(けんえん) の龍姿

今週、夜の8時頃、天頂と真南を結ぶ線上を探すと一等星が見つかります。
しし座のレグルスです(図1)。
多少時間や日付がずれでも、図1に一等星を円(破線)でマークしておきましたので、
その並び方を参考にすればきっとレグルスは見かるでしょう。

レグルスを含む星の並びに、「獅子の大鎌」とよばれる形があります。
図2のピンクの実線がその形で?マークを裏返したような形です。
ここまでは星空案内ではポピュラーな話です。

中国では、この形をさらに赤の点線部分を加えて龍に見立て、
軒轅(けんえん)
と呼んでいます。
軒轅は古代中国の伝説の天子である黄帝の異名です。
中国の古い天子では堯舜の名をご存知の方もおいでと思いますが、
それよりももっと古い時代の天子です。


「列仙傳」という本の巻上、五に書かれているお話ですと、
黄帝は素晴らしい能力をもった人で世の中をよく治めたそうです。
年老いてから、首山の銅を採掘させ立派な鼎を作りました。
鼎ができるとそこに龍がやって来て長いひげを垂らしたので、
それにつかまると、
龍はたちまち天に昇り始めました。
黄帝は、「これで私も天帝のいるところにいける」と喜んだそうです。


図2を見ながら、さて、龍の長くのびた姿を夜空に見つけることができるでしょうか。
非常に暗い星を含んでいるので難しいと思います。
私もまだ確認できていません。
しかし、
龍の頭の部分はやまねこ座のアルファ星で3等星なので見つけることができると思います。
また、双眼鏡があれば見つけられそうです。
私も今度挑戦しようと思います。



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図1 4月7日午後8時ころの夜空 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/664-fig1.jpg
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図2 軒轅(けんえん) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/664-fig2.jpg
本文終わり
パワポ http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/664-fig.pptx references 山田 卓, 2005, 春の星座博物館、地人書館 大形 徹 2004, 『列仙傳』の仙人(一) : 黄帝・關尹子・涓子, 大阪府立大学学術情報リポジトリ, http://doi.org/10.24729/00004515