回折分光器

---------------------------
CDの銀盤に虹色の光が見える現象をご存知の方も多いと思います。
ラッピングフィルムに加工がしてあって虹色に見えるものもありますね。
光の回折虹です。

光が虹色に見えるフィルムは「回折格子フィルム」と言って市販されています。
フィルムには、
すだれやブラインドのように細長い並行な隙間がいっぱいあるのですが、
隙間の間隔が1ミクロンくらいなので、見た目は透明なフィルムにしか見えません。
隙間が縦に走るようにして天井の蛍光灯を見ると図1の様に見えます。
真正面には蛍光灯が見え、その両側に虹色の回折光が見えています。

この現象をコンピュータシミュレーションしてみました。
オレンジ色の部分に間隔が1ミクロンの隙間があり、左から光が入って来るとしました。
光の波長は0.5ミクロンとします。
この光は緑色に見えます。
直進する光がAで、回折した光がBとCです。
右側から蛍光灯を見ると正面にAの光がみえ、
その両側に30度の角度をなしてBとCの光が見えます。

もし、入射光の波長が0.4ミクロン(紫色の光)なら、出ていく角度は23.6度になり、
波長が0.6ミクロン(オレンジ色の光)であれば36.9度になります。
この様に光の波長によって出てくる角度が決まっているので、波長ごとに色分けされ、
虹の色が見えることになります。
例えば、水素原子は波長0.656ミクロンの赤い光を出すので、
この波長に対応する角度41.0度の方向に強い光が出れば、
「ああ、水素原子からいっぱい光が出ているな」とわかるわけです。


この現象を利用して光を波長ごとに分解する装置を作り、これを「分光器」と呼びます。
天文学ではこの分光器が大活躍します。
分光器が解明したことには、宇宙の元素組成、宇宙膨張、
銀河の回転など枚挙にいとまがありません。
地球外生命を見つけるのもこの分光器でしょう。






画像をクリック(拡大)

図1 開設格子フィルムを通してみた蛍光灯 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/668-fig1.jpg
画像をクリック(拡大)

図2 回折を再現したコンピュータシミュレーションの結果 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/668-fig2.jpg
本文終わり
パワポ http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/668-fig.pptx references will be note-668