ヘルツスプルングの発見
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科学の発展を、
一般市民もアマチュアも専門家も一緒になって支える社会になればいいなと思います。
今から120年も前、星とはどんなものかはまだまだ曖昧でした。
イエナー・ヘルツスプルングは、
天文学では食ってけないので技術者になり天文学は趣味にしなさいという父からの助言に従って、
工業技師としての職に着きます。
その後、
父の遺産のおかげでアマチュア天文家として研究を続けることができました。
当時、星の色の違い、つまりはスペクトルの違いの研究が進んでおり、
青い星から赤い星に向かって、
高温星から低温星への一つの系列があることがわかっていました。
しかし、ヘルツスプルングは同じ赤い星でも二種類あるのでないかということに気が付きました。
図1は今晩8時頃の山形から見える星座です。白鳥座が昇ってきていいます。
そこに61番星Aという星があって、
この星はスペクトル分類ではK5というタイプに属します。
冬の星座で有名なおうし座の一等星アルデバランも同じK5というタイプです。
つまり、61番星Aとアルデバランは同じ表面温度を持っているということです。
予想される温度は、4400度くらいです。
しかし、両者は固有運動が違うというのがヘルツスプルングの気になったところです。
地球から見た位置がほんの僅かですが移動することを固有運動といいます。
図2でわかるように、固有運動が大きいということはその星が近いことを示唆します。
61番星Aの方が固有運動が大きいいので地球に近く、アルデバランは固有運動が小さくて遠い星と予想されます。
遠い星は暗く見えても良さそうなのですが、アルデバランは1等星、61番星Aは5等星です。
つまり、アルデバランの真の明るさは驚異的に明るい、巨大な星に違いないと考えました。
たくさんの星のスペクトル型と固有運動や距離の測定結果を集め、
同じスペクトルでも明るい巨大な星と小さい暗い星の二種類があるととを見つけたのです。
今でいう超巨星の発見です。
この研究は当時アメリカの大御所の天文学者のピッカリングには取り合ってもらえませんでしたが、
ドイツの天文学者シュバルツシルトに認められ、
ヘルツシュプルングはポツダム天文台でシニア・アストロマートして、
アマチュアからプロの天文学者になりました。
高校の地学の教科書に出てくるヘルツシュプルング・ラッセル図はこの研究の結果生まれたものです。
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図1 6月2日午後8時30分頃の東の空(Stellariumを用いて作図)
http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/672-fig1.jpg
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図2 星の固有運動
http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/672-fig2.jpg
本文終わり
パワポ
http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/672-fig.pptx
references will be note-672