星の重さはどうやってわかる?

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星の重さはどのようにして測るのでしょう。
星までの距離の測定も難しいですが、
重さ(質量)となるとますます難問ですね。

まずは太陽です。
地球やその他の惑星は太陽からの引力(重力と呼びます)によって引っ張られていて
その結果として太陽を巡る軌道を回っています。
太陽からの重力がなかったら地球はどこかに吹っ飛んでいってしまうでしょう。
これが大きな手がかりです。
太陽の質量が大きいほど太陽からの引力も強いので、
この性質を使って、質量を求めます。

ここで、運転免許を取るときに勉強させられる、カーブの半径と速度の関係が登場します。
カーブを曲がり切るために必要な力はカーブの半径に反比例し、速度の二乗に比例します。
スピードが二倍になると必要な力は四倍になるので運転には注意しましょう(図1)。

図2のように、
地球を自動車に見立てて、
地球の公転運動の半径が1億5千万キロメートルであること、
速度約11万キロメートル毎時であることを使い、自動車の時と同じ式で、
太陽からの引力、つまり、重力を計算します。

重力の比例定数はわかっているので(求め方についてはこのコーナの315回目(2014年5月21日)に紹介しました)、
その値を使うと、
結局、太陽からの引力を使って太陽の質量は図2に書いた値になります。
ゼロが30個も並んでいるので表現する言葉がないので図に書きました。
これが太陽の質量です。

太陽の質量がはっきりすると、
太陽のような星が輝く仕組みが理論的に解明されました。
その結果、星の明るさが星の半径、質量、表面温度などから理論的に計算できるようになりました。
あとは色々な星の星の明るさや温度を光の分析から推定し、星までの距離を測定すると星の質量が推定できるようになります。

太陽と同じような構造の星であれば
星の明るさは質量の大体3.5乗に比例するという関係が導けます。
この関係を利用するとおおいぬ座のシリウスの質量は太陽の2.3倍程度であることが推測できます。

シリウスは連星という特殊な事情にあるため自動車のカーブでやったと同じ原理が使って質量を求めることができます。
その結果は太陽の2.14倍ということで明るさから求めたものと大体一致します。



図1 自動車のカーブする様子 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/694-fig1.jpg
図2 地球もカーブしている。 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/694-fig2.jpg
本文終わり
パワポ http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/694-fig.pptx 計算式 694.f