ミニ銀河にブラックホール
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宇宙が始まって、混沌としたものの中からどうやって星や銀河ができたのでしょう。
このことがのちの生命の誕生につながるのでとても知りたいことです。
重力(万有引力)が原因だということは皆さんも予想されるのでないでしょうか。
宇宙の混沌のなかでわずかの密度の揺らぎがあったとします(図1a)。
すると、図1bのように重力ポテンシャル(力を引き起こす起伏)ができると考えます。
密度の濃いところにみんな集まれという力が働きます(赤の矢印)ので、
そこはどんどん密度は高まって星や銀河ができるでしょう。
こんな風に星や銀河の誕生を説明している本もあると思います。
でも本当にそうでしょうか。
図1の起伏に置かれたボールは確かに谷底めがけて動きますが、
また坂を登っていきます。
つまり、決して谷底に落ちてそこに留まるわけではありません。
何か摩擦のようなものがないと谷底には落ちていきません。
密度の増大は起こりません。
宇宙ではそんなに簡単に摩擦は働きません。
だから、天文学者は色々悩んているのです。
摩擦の役割をするものは何か。
どのくらいの質量の星が最初にできるのか、
その中でどんな風にしてブラックホールができるのか。
これに対してはちゃんとした答えはまだありません。
そこで宇宙が誕生した頃の姿を求めて遠くの星や銀河を観測します。
図2の枠内は、
チャンドラX線望遠鏡チームのパーカーさんとヒコックスさんによる
MRK462というミニ銀河のX線画像で、
それほど大きくはないブラックホールの存在を示しています。
図2の写真全体は、NGC番号のついた銀河がいくつか集合している様子を示しています。
その片隅に今回のX線放射のあったMRK462がいます。
数千億個の星を擁する立派な銀河ではないミニ銀河MRK462に、
ブラックホールがあったのです。
銀河中心にあるブラックホールといえば太陽質量の十億倍という感じですが、
MRK462のものは太陽質量の十万倍くらいしかありませんでした。
この観測は、
宇宙誕生から現在に至るまでの過程の一コマを見せてくれているのではないでしょうか。
それで、多くの天文学者がこの結果を注目しています。
図1 密度揺らぎとそれに伴う重力の働き方
http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/705-fig1.jpg
図2 グループ銀河とミニ銀河MKR 462
(提供: NASA/CXC/Dartmouth Coll./J. Parker and R. Hickox; Optical/IR: Pan-STARRS)
http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/705-fig2.jpg
本文終わり
パワポ
http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/705-fig.pptx
image credit
Credit: X-ray: NASA/CXC/Dartmouth Coll./J. Parker and R. Hickox; Optical/IR: Pan-STARRS
references
https://chandra.harvard.edu/photo/2022/mrk462/
A note will be in 705-note