曜日の旅 (No. 722)
date 2022 05 25
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星座の形は、
何千年もの間ほとんど変化しません。
その星座の中を動きまわる天体が古代から7つ知られています。
それはなんでしょう。
答えは、曜日の名前になっているのですぐに分かります。
月、火星、水星、木星、金星、土星、太陽です。
これら7つの星を神様と見ていたメソポタミアが曜日の起源であり、
星占いで使われます。
古代オリエント文明で完成した曜日はその後インドに伝わりました。
それが仏教に取り込まれ、密教系の経典 「宿曜経」というお経となり、
中国に持ち込まれます。
宿は星座のことですので、「宿曜経」は星占いの本といった雰囲気です。
さらに、空海などの僧によって日本に密教が入ってくると「宿曜教」も伝わりました。
そして、「宿曜道」という星占いの一派が日本にも誕生します。
宿曜道は、既にあった陰陽道との間で、占い業界のシェア争いを繰り広げます。
当時はまだ加持祈祷を重んじる時代であったことを想い出してください。
紫式部の源氏物語にも、藤原道長の御堂関白記にも宿曜師が登場し占いをします。
このころ既に、月火水木金土日の曜日が使われていたのです(図1)。
しかし、鎌倉時代になるとそれらは忘れ去れてしまいました。
江戸時代の人は曜日をまったく忘れてしまっていたのです。
一方、
古代オリエント文明で成立した曜日はヨーロッパに伝わっていました。
そして、グレゴリオ暦(私たちが使っている暦)になり、
そこに七曜は生き残っていました。
明治時代になって西洋文明を取り入れる中でグレゴリオ歴が日本でも用いることになりました。
曜日の名前をどう日本語に訳すかというときに、
千年も前に既に日本にあった曜日が再発見され、すんなりと
月火水木金土日の曜日が復活しました。
長い旅でしたね。
それを思い出しながら、27日の明け方に月と金星、木星、火星が綺麗なので
ご覧ください(図2)。
図1 曜日の旅
http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/722-fig1.jpg
図2 5月27日午前3時30分頃の東の空(Stellariumを用いて作図)
http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/722-fig2.jpg
本文終わり
パワポ
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references will be note-722
https://tsumugu.yomiuri.co.jp/feature/midokanpakuki/