ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡起動 (No. 731)

date 2022 07 27
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このシリーズの<708>で、
ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡が無事所定の軌道に投入されたことをお伝えしました。
その後の望遠鏡の調整も順調に進み、
最初の結果が公開されたことはニュースとしてご覧になったのでないでしょうか。
7月11日にはバイデン大統領から発表されましたね。
今後の成果は随時ご紹介することにします。

ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡にどんな観測装置があるかや
画像の見方などを少しづつ勉強していきましょう。

図1は発表された「SMACS 0723」という名前の銀河団の画像です。
銀河団というのはその名の通り銀河がたくさん集まって大きな集合体になっているものです。
確かに、図1には色々な色や形をした銀河が写っています。
おおむね楕円形で(星ではなく)ぼやっとものです。
ここには何千個という銀河が写っています。

この銀河団は約46億光年彼方にあるそうです。
と言っても、
銀河団の手前にある近くにある銀河や星も同時に写り込んでしまっているのは当然のことです。
約46億光年彼方にある銀河団の写真というタイトルであっても、
そこには色々の距離にある銀河や星が写っていると考えましょう。

この銀河団の向こうにある遠くの銀河も映っています。
遠くの銀河は遠い分だけ暗く小さく見えるので目立たないだろうともうのが常識でしょう。
しかし、ここに重力レンズ効果という素晴らしい現象が起こります。
ちょうど銀河団が虫眼鏡のような働きをして、
銀河団の向こうにあるずっと遠くの銀河が拡大して見えるのです。
銀河にしては変に歪んだものや変に長く伸びたものが映っていますが、
これがレンズを通して見た遠くの銀河です。

次に、どういうふうにして写真を撮るかも少しみておきましょう。
この写真を撮ったのは望遠鏡に取り付けられたNIRCam という名前のカメラです。
これは近赤外カメラ(Near Infrared Camera)の略です。
図2が望遠鏡の全体像です。

光の波長はミクロンという単位で理解するのがわかりやすいです。
1ミクロンは1ミリメートルの千分の1です。大腸菌や酵母菌などの大きさですね。
NIRCam は波長が0.6ミクロンから5ミクロンの範囲の光を使って写真を取ります。
0.6ミクロンは赤い色の光ですが、5ミクロンの光は人間の目には感じない赤外線です。

次に見えている範囲ですが、図1の対角線が2.4分角ということです。
視力検査の時に使うCの文字を思い浮かべてください。
次に、視力が0.4位のところのCの大きさを想像します。
そのCの中央の丸の部分くらいの範囲がこの画像の範囲です。
空の非常に狭い範囲の写真であることがわかりますね。

重要な観測装置はこれ以外に二つあります。
装置と成果を今後少しづつ紹介できるかなと思います。
お楽しみに。





図1 ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡による最初の映像 (提供:NASA, ESA, CSA, STScI) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/731-fig1.jpg
文がちょっと長いので図2はカットでもいいかもしれません。 図2 ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡 (提供:NASA, ESA, CSA, STScI) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/731-fig2.jpg
本文終わり
パワポ http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/731-fig.pptx references will be note-731