ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡II (No. 732)
date 2022 08 03
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先週は、次世代の飛び抜けて高性能のジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡
が登場したことをお伝えしました。
どんなことができるか、さらにチェックしましょう。
光は波なので波長というのがあります。
波長を測るために用いる単位としてはミクロンが便利です。
1ミクロンは千分の1ミリメートルで酵母菌や大腸菌の大きさです。
可視光の波長は、「ハーフミクロン」と覚えておくのをお勧めします。
ハーフなので半分、つまり、0.5ミクロンということですね。
非常に遠くにある星や銀河から光が発せれ、やがて地球に到着します。
それを望遠鏡でキャッチして見るのですが、
光が発せられてから長い時間旅をしている間に、
宇宙は膨張しているので光の波がビヨーンと伸びてしまいます。
例えば、地球に届く頃には波長が5ミクロンになってしまっていたりするのです。
0.5ミクロンが5ミクロンになったということは10倍波長が伸びています。
つまり、
この光が宇宙を旅している間に宇宙は10倍のサイズに膨らんだということです。
膨らみと時間の換算表というのがあって、それを見ると131億年間とわかります。
この天体は131億光年彼方の天体であるということになります。
しかし、実際に波長がどれだけ伸びているかはあらかじめわからないので、
波長を測るための分光器という装置を使います。
ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡はNIRSpec(近赤外分光器)と呼ばれる装置を持っていて
図1のような結果が得られています。
4つの銀河の分光結果を示した図ですが、可視光で出発した光のパターン(スペクトル)が、
銀河Aでは2ミクロン付近、銀河Bでは3ミクロン付近、銀河Cや銀河Dでは5ミクロン付近に
みられます。それぞれの銀河の光が旅をしてきた時間が違うことがわかります。
銀河Dが最も長い旅をしていて、波長が10倍も伸びてしまっています。
そして、約131億光年の彼方の銀河であることがわかります。
このような測定によって、
図の写真に写っている一つ一つの銀河がどれくらい遠くにあるかがわかるのです。
図1 近赤外分光器による銀河のスペクトル(提供: NASA, ESA, CSA, STScI)
http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/732-fig1.jpg
本文終わり
パワポ
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