月と輪廻 (No. 741)

date 2022 10 05
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今週は月が綺麗です。今日は半月より少し膨らんだ月で、
10月8日は十三夜のお月見です。
古代メソポタミアの人たちが「月の旅する道」といったコースを
図1の+印のように移動していきます。
同じ道には土星や木星も待ち構えています。

しかし、明るく元気のいい月も、やがて満月を経て、
25日には朔となって見えなくなります。
10月28日頃には再び蘇って三日月として西の空に見えることになります。
古代の人はこの繰り返しを生命の再生、
つまり、月の中に転生輪廻の現れがあると考えました(図2参照)。
月にまつわる話にはそれが現れます。

例えば、不死の薬、若返りの薬が月にあるという考えがそうです。
アフリカのある民族の神話では、昔、月の神様が
ウサギを人間世界に遣わし
「一旦死んでも月のように再生する」と告げるように言いますが、
ウサギは誤って「再生しない」と伝えてしまい、それ以来人間は死ぬことになったそうです。
月に帰ったウサギは月の神様からひどく叱られ、
パニックになったウサギが月を引っ掻いたので現在のような月の模様ができたと言います。

日本の宮古島に伝わる話では、天上の神様がアカリヤザガマという怪物に、
変若水(おちみず)と死水が入った二つの桶を担がせ、
地上に降りて人間には若返りの水を与え、
死水は心がけの悪いヘビに与えるように命じます。
ところが、結局はヘビが変若水に入り、人間に死水を浴びせることになってしまいます。
この怪物は咎められ、桶を担いだこの怪物の姿が月の模様だそうです。

このような話は世界中にあることがわかってします。
月の満ち欠けの連想からこのような話は説得力を持って語り継がれてきたのでしょう。






図1 10月5日夜9時ごろの夜空(Stellariumを用いて作図) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/741-fig1.jpg
図2 月の満ち欠けと転生輪廻 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/741-fig2.jpg
本文終わり
パワポ http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/741-fig.pptx references will be note-741