穴から覗く (No. 794)
date 2023 10 14
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私たちが住む銀河系の形は、どら焼きのようだとよく言われます。
どら焼きがいまてもとにないので、丸いパンで代用して図1の写真をとりました。
このパンは私の手作りですが、それはさておき、
このパンが銀河系だとすると、
私たちの太陽系はこのパンの中にあります。
望遠鏡を使って宇宙の果てまで見たいということは、
パンの中から窓の外の景色を見るようなものです。
パンの中から外が見える隙間を探し、さらに、
パンの外がわずかに見えても、窓ごしに外の景色が見えないといけません。
そんな特別の方向を探し出します。
夜空を眺めて見えるたくさんの星々は銀河系の中の星ですから、全て邪魔者です。
邪魔な星が全くない真っ黒な穴のような場所を夜空に探すのです。
さらにその穴に他の銀河やブラックホールなどじゃまな天体が見えてはダメなので、
そのような天体のない場所を探します。
結局、おおぐま座のある方向にそのような遠くが見える窓のような場所がやっと見つかり、
そこにハッブル宇宙望遠鏡が向けられました。
140時間にもおよぶ長い長い露光時間をかけて撮られたのが有名なハッブル深宇宙の画像(図2)です。
撮られた領域の大きさは約2.7分角といいますから、
視力検査の視力0.4のところのCの隙間くらいの領域です。
本当に針の穴のような隙間から遠くの景色が見えたのです。
窓の外には何千という銀河がひしめいていました。
近くにある銀河と遠くにある銀河が重なっていますが、
遠いものは100億光年を超えるものがありました。
宇宙の果てを138億光年とすると本当に果てに近いところが見えたことがわかりますね。
めったにない穴場というのは大切にしましょう。
図1 パンの中から窓の外をのぞく
http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/794-fig1.jpg
図2 ハッブル深宇宙
(提供:: R. Williams (STScI), the Hubble Deep Field Team and NASA/ESA)
http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/794-fig2.jpg
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