りゅうこつ座イータ星 (No. 797)

date 2023 11 04
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以前から紹介したいと思いつつ機会がなかった非常に特異な星を今日は紹介しようと思います。
りゅうこつ座イータ星です。
私たちが住む銀河系の中にあります。

図1がその姿で、
中心付近の青く見える部分がハッブル宇宙望遠鏡による可視光の画像、
赤い色の部分がチャンドラ宇宙望遠鏡によるX線の画像です。
中心部分がわかりやすいように拡大した図2はヨーロッパ南天天文台の大口径望遠鏡(VLT)による赤外線の画像です。
みるからにこりゃなんだ!というとんでもない大爆発をしている星の姿だと分かります。

りゅうこつ座という聞き慣れない星座が出てきたのでお気づきかもしれませんが、
残念ながら日本からは見えない、南半球からよくみえる場所にあります。
もし、南半球においでの時はデジカメで狙ってみてください。赤く滲んだ光が不気味に写るはずです。
私もオーストラリアに行った時、当時は一眼レフカメラですが、見事に写っていました。

中心星の正体は巨大な連星(二つの星が互いに回りあっている)で、
大きい方が太陽の90倍ほどの質量を持ち、もう一つの方は多分太陽の30倍ほどの質量があると考えられています。
巨星として有名なオリオン座のベテルギウスという星も質量が大きいと思うのですが、
それでも太陽の20倍たらずと思われています。
いかにこの星が異常かがわかると思います。

実はこの星、19世紀の中頃、大爆発をおこして一時的に全天で一番明るい星になったことがあります。
この爆発の際、太陽30個分ほどのガスが吹き飛ばされて、
ホムンクルスというニックネームで呼ばれる奇妙な形の星雲として見えています(図2)。
すごい爆発であったことが画像からも想像できますね。

最近の観測から図1で赤く見えているX線で光っている雲は毎秒3千kmで膨張していることがわかっています。
宇宙にはとんでもないことがつぎつぎに起こっているわけですが、その一端を垣間見る思いがします。







図1 りゅうこつ座イータ星とその周辺(提供:NASA) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/797-fig1.jpg
図2 りゅうこつ座イータ星とその周辺(提供:ESO) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/797-fig2.jpg
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