ぎょしゃ座 (No. 801)

date 2023 12 02
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ぎょしゃ座は不思議な星座です。

まず、ぎょしゃ座を空に見つけましょう。
日が沈んで暗くなったら東の空を眺めてみましょう。
図1のように東の空高い位置に木星がギラギラ輝いているは誰も気がつくでしょう。
そこから北に目を移すと、地平線に近い位置に次に明るい星が見えます。
ぎょしゃ座のカペラです。

御者(ぎょしゃ)とはもう使われなくなった言葉です。
現代の言葉に直すと車の運転手ですね。
星座の形ははっきりとわかる五角形で、中国では五車と呼んでいます。
山形だったら将棋の駒になぞらえて、王将座とでもしたいところです。

不思議なことは、
星座絵は御者とは関係のない 山羊あるいは羊を抱いたおじいさんが描かれていることです(図2)。
つまり、名前と絵がバラバラなのです。
星の名前になっているカペラの意味はラテン語で雌子山羊です。
この名前がついた頃は御者ではくて山羊か羊を抱いたおじいさんがここにいたように思います。
実際、紀元前9世紀に繁栄した新アッ シリアの首都ニムルードからの出土の古代の星座の原型を示す彫刻では、
この辺りに確かに山羊を抱いたおじいさんが描かれているそうです。

一方、ギリシア神話では、
アテーナイにエリクトニオスという名前の王がいて、
王は足が不自由だったのですが、4頭立ての戦車を発明して戦った素晴らしい王だったという記載があります。
その王を記念してぎょしゃ座を作ったということです。

これら二つのことが消えることなく共存して、
星座の名前として御者がのこり、星座絵として山羊を抱くおじいさんが残ったようです。
星座の世界も長い歴史が刻まれています。


図1 今晩午後6時頃の東の空(stellariumを用いて作図) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/801-fig1.jpg
図2 ぎょしゃ座の星座絵(Middeltonの星図:提供:the Linda Hall Library of Science, Engineering and Technology) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/801-fig2.jpg
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