緑の怪物 (No. 809)
date 2023 02 10
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人類がもつ最強の望遠鏡と言えるジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡が発見した不思議なものの一つに
「緑の怪物」と呼ばれているものがあります。
ジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡は、
月よりも遠く地球から150万kmも離れたところにある大きな望遠鏡です。
「緑の怪物」は、
カシオペヤ座Aと呼ばれる天体の中にあります。
今から約340年前にカシオペア座のある星が大爆発を起こしました。
爆風とともに飛び散る星の姿を私たちは今見ていて、それがそれがカシオペヤ座A です。
このような爆発は超新星爆発と呼ばれ、
爆風が作る火の玉のようなものを超新星残骸と呼びます。
図1がカシオペヤ座Aで緑の部分が「緑の怪物」です。
最近、ジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡とチャンドラX線宇宙望遠鏡と両方のデータを解析して
「緑の怪物」の正体がわかってきたそうです。
図2は、爆発する前の星の中の想像図です。
元素は星の中で作られるので、作られた順番に層になって並んでいます。
星の玉ねぎ構造と言われます。
これが爆発し爆発して飛び散った物質が図1のなかに見えています。
図1のように星の中心にあった鉄、やや外側になったケイ素など
元素の塊が吹き飛んでいる様子が見えるわけです。
X線のスペクトル解析によって元素の成分が明らかにされています。
緑の怪物が天文学者をびっくりさせたのは、
緑の怪物の部分からのX線や赤外線を調べてもそれが星の破片である証拠がないことでした。
では何なのでしょう。
研究の結果わかったことは次のようなことです。
まず、爆発する前に、その星の周りには星周物質と呼ばれる比較的濃いガスがありました。
それが、爆発に巻き込まれてしまいます。
そして、爆発によってできたこの大きなバブルの中に、
この星周物質が閉じ込められることになってしまたのです。
太陽系の近くで超新星爆発が起きて爆風に飲み込まれたら、
地球も緑の怪物のような姿になるのでしょうか。
図1 カシオペヤ座A(提供:NASA)
http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/809-fig1.jpg
図2 爆発前の星の内部
http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/809-fig2.jpg
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パワポ
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