人工衛星は落ちている タイトル (No. 811)

date 2023 02 24
---------------------------
星座の説明をしていると、飛行機や人工衛星がたくさん目に入ってきます。
こんなにたくさん飛んでいるのかと驚かされます。
星座の説明にはとても便利で、「今、あの人工衛星が飛んでいるところがおうし座です。」
「あっ、ふたご座に入りました。」
などと説明することができるので星空案内人はとても楽です。

人工衛星を見ている時、よくある質問は「人工衛星はなぜ落ちて来ないんですか。」という質問です。
人工衛星にはロケットエンジンなどの推進装置は普通はついていません。
ついていなくても人工衛星は落ちてきません。

「いや、人工衛星は落ちているんです。」というのが実は正解なのですが。
図1をご覧ください。
落ちているというのは普通は図の黄色の矢印の落下運動です。
地球の引力によって真逆さまに物体は落下します。
一秒間で約5メートルほど落下します。
ただし、これは水平方向の速さを持たない場合です。
水平方向の速さが加わると、落下しながら水平方向にも動きます。
図のオレンジ色で示した放物運動といわれるものです。
ボールを投げた時の感じです。

落下運動と水平運動は独立して生じます。
毎秒44メートルの球速(大谷翔平選手の投球がこれくらいだそうです)だと、
一秒間に水平方向に44メートル進みながら5メートルほど落下するという運動になります。
水平方向速度をどんどん増やして、毎秒7.6kmくらいにすると、地球が丸いことによる水平からの下がり方と
放物運動の下がり方がちょうど一致します。
放物軌道の丸みと地球の丸い形が同じになります。
するといつまで経っても地面には到達しないことになり、
落ちているんだけど落ちて来ないという不思議な軌道になるというわけです。


人工衛星は自然落下しているので、
中に乗っている人はちょうど綱の切れたエレベータに乗っているのと
おなじで無重力状態を感じます。

明るく見える人工衛星は国際宇宙ステーション(ISS)です。
図2のように「きぼうを見よう」というインターネットのページに予報が出ています。
このページには空のどこに見えるかも図で示してくれているのでぜひご覧ください。
ここしばらくは朝方に見えているようです。



図1 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/811-fig1.jpg
図2 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/811-fig2.jpg
図3 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/811-fig3.jpg
本文終わり   (homeへ)
パワポ http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/811-fig.pptx references will be note-811