シリウス (No. 814)

date 2023 03 16
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先日、
全国の星空案内人(愛称「星のソムリエ」)が集まって、
星空案内を研究するシンポジウムが和歌山大学で開催されました。
その中で、より多くの皆さんに夜空に親しんでいただくには、
星座ではなく、目立つ星に焦点を当てたほうがハードルが低くなるのではないかという意見があり、
私も同感でした。
星座は人気ですが、形を見つけそれを覚えるのはハードルが高いと思うのです。
単に目立つ星を見つけるだけの方が簡単ですね。
「あっ、またあの星が出てる」と同じ星を見つけるのも楽しいことです。

図1は今晩午後7時頃の南の夜空です。
とても明るく目立つ星がありますね。
これはシリウスとよばれる全天で一番明るい恒星です。
ギリシア語でシリウスは、焼き焦がすものという凄まじい名前がついています。
とにかく明るいということを名前にしたと思われますが、もう一つ重要なポイントがあります。
真夏の明け方の空を見てみましょう。
図2のように太陽とシリウスが一緒に昇ってくるのです。
つまり、太陽とシリウスが一緒になって照らすので夏は暑くなると考えられたのです。

英語で犬の日(dog days)という表現があります。
これは愛犬週間というような意味ではなく、
真夏の暑い日(時期)を指す言葉です。
シリウスはおおいぬ座にあるので犬の星(dog star)はシリウスのことです。

実際に夜空にシリウスをみると不気味な感じもします。
実際、古代ギリシアの詩人ホメロスの「イリアス」には災いをもたらすものとして
シリウスが登場します。
先ほどの犬の日は商売などがうまくいっていない悪い状況を指す場合に使われます。

中国ではシリウスのことを天狼と呼んでいます。
これもおもしろい一致ですね。

明るい一つの星ですから覚えてお友達になってください。
シリウスを見慣れてくるとその右上のオリオン座との位置関係も覚えやすいと思います。
冬だけでなく秋には真夜中から明け方にかけてシリウスが見つかると思います。
ぜひお試しください。








図1 3月16日午後7時頃の南の空 (Stellarium を用いて作図) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/814-fig1.jpg
図2 8月上旬の日の出の頃の太陽とシリウスの位置関係(Stellarium を用いて作図) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/814-fig2.jpg
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