星座を使わない夜空の楽しみ方(夏) (No. 831)

date 2023 07 13
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星座を使わない星の楽しみ方の一つのコツは空全体を広く見渡すことです。
今日のポイントは「天の赤道」です。
図1のように真東から始まって、南の空を通り、真西に終わる大きな円を想像しましょう。
南の空のでは、真上(天頂)から観測値の緯度だけ下がった所を通っています。
山形は北緯38度付近ですので、
「ちょうど見やすい高さ」と思っていれば良いでしょう。
赤道(北緯0度)に行けば、天の赤道は真上を通っています。

空を見上げたら天の赤道を中心とした帯状の天の赤道帯をイメージましょう。
そして赤道帯の中にある星とそれより南にある星とを区別します。
赤道帯より南にある目立つ星は三つです。
日没後しばらくしてから見るとすると、
梅雨から夏にかけて見える一つ、
秋に一つ、冬に一つです。
図1のAの星がその一つです。
この星にむかって「あんた誰っすー」と問いかけると、
「アンタレス」という答えが返ってきます。

アンタレスはさそり座にあって、サソリの心臓と呼ばれることがあります。
アンタレスは赤い巨星として有名ですので、その赤さをお楽しみください。
物理学的にはこの赤さは表面温度の低さの現れで、3500度くらいしかありません。
太陽の6000度と比べてください。
日本ではずばり赤星という呼び名もあります。
また、宮沢賢治の銀河鉄道の夜の中にさそりの火の話があるので、
もうご存知の方も、この夏、もう一度読み返しても良いのでないでしょうか。
生きることの意味を問いかけているお話です。

アンタレスの両側に星があって、天秤棒の二つの星と見て「かごかつぎ星」と
呼ばれます。
夏には図2の左のように塩の入った左側が下がっていますが、
秋になると右側の豆が実って重くなり傾きが変わります。
なかなか素敵な見方ですね。




図1 今夜8時頃の夜空 (トリミングお願いします。) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/831-fig1.jpg
図2 アンタレスの両側の星を天秤棒のように見立てています。 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/831-fig2.jpg
本文終わり   (homeへ)
パワポ http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/831-fig.pptx references will be note-831 メモ:英語発音はan ta(or tear) -re'z のような感じでリーズを強くすると 多分OK。