星曼荼羅 (No. 840)
date 2023 09 07
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図1は、東京国立博物館が所蔵する両界曼荼羅図(りょうかいまんだらず)です。
曼荼羅図というのは仏の世界を図で表したものだそうです。
仏教の経典は誰でも読めるというものではないですし、お経を聞いてもその意味はなかなか分かりにくものです。
そこで、分かりやすく図示して説明することが行われました。
現代風にいうと、漫画やイラストで説明しようということで、
いつの時代も同じ作戦のようです。
中央に、宇宙の真理そのものとされる大日如来を、その周りにさまざまな仏や菩薩が一定の秩序にしたがって描かれています。
このような曼荼羅はいろいろなところで重宝されました。
図1のような真言密教で使われたものもありますが、星を描いた星曼荼羅というのもあるそうです。
中央に本尊と北斗七星を描き、周りに黄道十二星座などを描いたものです。
なるほど、星空に親しんでいただくためには曼荼羅を描いて普及すれば良いのだと思って、
私も星曼荼羅を作って見ました。
この曼荼羅(図2)をイメージとして覚えてください。
星座を使わない星座案内で必須の5つの輝星の配置とその意味が一気に覚えらる星曼荼羅は
優れものということになります。
中央が北極星です。
内側の青い円は北極星から38度の円で、この上にある星は毎日1回頭上(天頂)を通過します。
この青い円の上に織姫星があります。
織姫の左側にあるのはアークトゥルスですが、その意味は熊の番人です。
私は麦星、あるいはビール星と呼ぶようにしています。
右下にあるのはカペラで、カペラの意味は雌の子山羊です。
赤い円が天の赤道になります。
そのすぐ外側あるのは巨人の左足という意味のリゲルです。
その左側にあるのはシリウスという星で、英語ではドッグ・スターです。
絵を覚えましたか。
位置を覚えたので、熊の番人は春の星、織姫星は夏の星、
秋には明るい星はなく、晩秋から冬にかけて雌の子山羊、
冬はシリウスというようによく見える季節も覚えられました。
図1 両界曼荼羅図(りょうかいまんだらず)
(提供:国立文化財機構所蔵品統合検索システム)
東京国立博物館蔵
http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/839-fig1.jpg
図2 星空案内のコーナー特製の星曼荼羅
http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/839-fig2.jpg
本文終わり (homeへ)
パワポ
http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/840-fig.pptx
references
839-prog/星の位置
839-data/
東京国立博物館蔵
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(出典記載例)
出典:国立文化財機構所蔵品統合検索システム(当該ページのURL)
出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/) など
曼荼羅は、真言密教(しんごんみっきょう)の世界観を絵画化したものです。中央に、宇宙の真理そのものとされる大日如来を、その周りにさまざまな仏や菩薩が一定の秩序にしたがって描かれています。両界曼荼羅とは、真言密教でもっとも重要とされる二つの経典、「金剛頂経(こんごうちょうきょう)」と「大日経(だいにちきょう)」に基づく、金剛界(こんごうかい)曼荼羅と胎蔵界(たいぞうかい)曼荼羅をセットにしたものです。金剛界は悟りへの道筋を表し、胎蔵界は慈悲の広がりを表すとされます。
そして、宇宙に太陽と月があるように、金剛界と胎蔵界の二つの曼荼羅があることによって、一つの世界が表されるのです。
二つの曼荼羅は、寺院の堂内で東西に向き合うように安置され、その間で修法(しゅほう)と呼ばれる密教の儀式を行うことによって、仏と一体となることを目指します。
この作品は、鎌倉時代に描かれたもので、細かい描写と美しい色彩が見どころです。
胎蔵界は2013年度、金剛界は2014年度に本格修理を行い、額装されていたものを掛け軸の形に改めました。修理の際、絵の裏から、過去の修理のときのものと思われる、年代を示す文字の一部や、親兄弟、配偶者や子供を意味する「二親六親」(にしんろくしん)という文字を墨で書いたものが発見されました。はっきりした時代や誰がということはわかりませんが、こうした文言は、死後の供養や未来の幸せを願って何かをした、という記録に用いられることが多いので、この作品もそうした人々の思いのなか、大切に守り伝えられてきたのでしょう。