地球の自転を実感する方法 (No. 840)

date 2023 09 14
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先日、宇宙講座の受講生の方から、
地球の自転を実感する方法はないでしょうか、という質問を頂きました。
確かに、そんな方法があるととても良いのですが、そう簡単ではないです。

太陽が東から昇って、西に沈むのも、
望遠鏡を見ていて星がどんどん動いていくのも地球の自転のためですが、
それをみたからといって地球の自転を実感するわけではないですね。

説明の仕方が重要だと思います。
図1のように自転軸に対して直角方向に固定された望遠鏡を設置します。

地球が自転すると望遠鏡がびゅんびゅん振り回された感じになって、
望遠鏡を覗くと中の星はどんどん動いていくでしょう。
この図を見てから、固定望遠鏡で星が動いていく様子をみたら、
「おお!地球が回っている!」と感じないでしょうか。
望遠鏡が地球に固定されているという印象が大切です。


実際どれくらいの速度で動いているかを計算してみましょう。
24時間で一周360度回るわけですから、少し計算すると、
4分で1度動くことがわかります。
4秒ですと1分角回ります。
この1分角というのは大事な大きさです。
視力1の人が分解して見えるのが1分角と定義されているからです。
つまり、4秒間星をみていると視力1の人は星が動いたことが分かるはずです。
望遠鏡か双眼鏡で10倍程度に拡大すれば楽々自転が見えるでしょう。

固定望遠鏡ですから、望遠鏡を覗いた時、望遠鏡の視野にちょうと星が見えるかどうかわかりません。
山形の市街地では4等星くらいまでしか星が見えません。
4等星より明るい星はたった710個しかありません。
はいどうぞと言って望遠鏡をのぞいて、いつも星が見えているようにするためには、
大きなレンズの望遠鏡が必要だとわかります。
しかし、邪魔をしているのは人口の街の光ですから、
さてどのくらい大きな望遠鏡が必要なのか、やってみないとわかりません。
これから実験してみようと思います。

最後に、天文学者が使っていた固定式望遠鏡を紹介しましょう。
これは天頂望遠鏡という真上だけを見ている固定望遠鏡です(図2)。
これを使って天文学者は地球の公転の証拠を見つけました。



図1 地球の自転を感じる望遠鏡 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/840-fig1.jpg
図2 天頂望遠鏡(提供:National Maritime Museum, Greenwich, London) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/840-fig2.jpg
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