銀河系辺境での星形成画像 (No. 842)
date 2023 09 28
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今日はジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡の最新画像をご紹介します。
宇宙誕生以来、約138億年の間、
何世代にもわたって星は誕生と死を繰り返してきました。
星の生まれ方は世代を経るごと変化しただろうと予想されています。
138億年前の星の誕生と現在の星の誕生とはその様子が違うというのです。
まず、星の材料となるガスの成分が違います。
最初は水素とヘリウムとわずかのリチウムを成分とするガスでしたが、
星が重元素を製造しはじめると、世代を重ねるごとに、
ガスの中の重元素量が増えていきます。
また、
私たちが住む銀河系は立派な銀河ですが、これも最初からこんな姿ではなく、
小さな銀河がつぎつぎに合体して巨大化することで現在の姿になりました。
このように宇宙環境はどんどん変化していきますから、
星のでき方も環境変化に応じて変化すると考えられます。
岐阜大学の泉奈都子さんとNASAジェット推進研究所のマイク・レスラーさんを中心とする研究グループは、
ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡をつかって銀河系の辺境にある
Digel Cloud 2S という名前の星形成領域の撮影に成功しました。
図1です。星はいっぺんにたくさん生まれますので星団になって見えています。
研究はさておいて、宝石箱のようにきれいですね。
この星団は辺境の地にあることを銀河の全体図(図2)でご覧ください。
今回観測された星形成領域は銀河系の中心から5万8千光年もはなれています。
ここでは重元素量は太陽系の半分くらいしかありません。
これまでに詳しく研究された星形成領域は太陽系の近くです。
この新しい観測から、
重元素量が少なかった過去において星がどのように作られていたかを
解明する大きな手掛かりになることが期待されています。
地球上に人類が現れるまでの歴史がまた少し分かってきそうです。
図1からは小さすぎて分かりませんが、
詳しく解析すると赤ちゃん星からジェットのようなものが噴き出ているものも見つかっているそうです。
ここは太陽近傍の現在の星形成領域と共通の性質のようです。
図1 星形成領域「Digel Cloud 2S 」
(提供:NASA, ESA, CSA, STScI, M. Ressler (JPL))
http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/842-fig1.jpg
図2 銀河系の中の位置
http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/842-fig2.jpg
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パワポ
http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/842-fig.pptx
references
842-ref.txt
842-refb.txt
842-refc.pdf \bibitem[Izumi et al.(2024)]{2024AJ....168...68I} Izumi, N., Ressler, M.~E., Lau, R.~M., et al.\ 2024, \aj, 168, 68. doi:10.3847/1538-3881/ad4e2e