遠くを見る望遠鏡のしくみ (No. 843)

date 2023 10 05
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9月14日のこのコーナーで、地球の自転を実感できる望遠鏡を作ってみることにしたというお話をしました。
現在作っている最中なのですが、
作りながら望遠鏡の原理について大事なことに気がつきました。

望遠鏡の仕組みというと、なんだか難しそうですが、
実際はとても簡単です。
材料は凸レンズです。虫眼鏡のレンズと言ってもいいですし、老眼鏡のレンズも凸レンズです。
虫眼鏡を持って遠くの景色を見たことありますか。
まだの方は早速やってみてください。
遠くの景色が逆さまになって小さく見えているのでないでしょうか。
これは誰でもできる簡単な実験です。

この時、レンズの向こうの遠くの景色をみていると錯覚してしまうのですが、
実際はそうではありません。
遠くから来た光はレンズで集められ図1のようにレンズの後ろに実像を結びます。
人間の目は自動的にその実像の位置にピントを合わせますので、
実際に見ているのはレンズの向こうの景色ではなく、
自分の目の前の「実像」です。

このとき遠くの景色が小さくて、
これを望遠鏡だとは誰も思っていませんが、これが大きな間違いです。
実像と目の間の距離は大体25cmから30cm離れています。
一方、虫眼鏡の焦点距離は25cmより短いのが普通です。
しかし、虫眼鏡の焦点距離が25cmより長かったらどうなるでしょう。
焦点距離が長いということは虫眼鏡としては拡大率の低いものということになります。
この時、
逆さまに映る遠くの景色はレンズがない時よりも実は大きくなります。
凸レンズ一枚ですでにそれは望遠鏡なのです。

図1では木の高さに相当する角度a よりも目で実像を見た時の木の高さbが大きいことを示しています。
実際に私が今工作している焦点距離約50cmのレンズで遠くの木をみてみると、
図2の左のように見えました。
右がレンズを通さない時の景色です。
確かに大きくなっていますね。








図1 凸レンズの実像 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/843-fig1.jpg
図2 レンズ越しに見た梢 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/843-fig2.jpg
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