銀河は金ではなく銀 (No. 849)

date 2023 11 16
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今日は八ヶ岳山麓で開かれている星空案内人講座に来て書いています。
図1は、星座の勉強をしているところです。
まもなく沈みそうな月も写っていますが、
これが沈むと見事な天の川がみえました。

銀河系が天の川とて見えていたのですが、
銀河の名前の由来の質問がありました。
特に銀は金とか他のものでなくてなぜ銀なのだろうという疑問です。
いろいろな色の星がある中で天の川の星は青白いものが多く、
赤や黄色の星はあまりありません。
なので金ではなく銀が良かったのでしょう。

銀河は英語のギャラクシー(galaxy)の日本語訳ですが、
翻訳するとき、
中国語で天の川が銀漢であることから来ていると思われます。
天漢ともかかれます。漢はここでは川(河)の意味です。
天漢であればまさに天の川です。

次に銀をあてるのは天の川を構成する星の色から来ていると思われます。
図2は私たち太陽系が所属する銀河の想像図です。
これをみると太陽のいるあたりは青白い星が多いことがわかります。
天文学的には銀河系円盤部と呼ばれる場所です。
銀河系円盤部は星が生産されている場所で、
たくさんの若い星があり、それらの星は青白い色をしています。
一方、図2の中心部分はオレンジ色に描かれています。
このあたりは古い星が多く、古い星は赤い星が多いので全体が赤みががかって見えます。
天文学ではバルジとよばれる部分です。

もし太陽がバルジにあったら赤い星が多く、金河となったかもしれませんが、
実際に、太陽は円盤部にあるので、周りの星は青白くて、銀が選ばれたのでしょう。
本当の語源はまたわたしも調査中ですが、色の違いは重要な要素でしょう。





図1 星空案内の勉強(撮影:飯塚伸夫さん) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/849-fig1.jpg
図2 銀河系の構造(提供:NASA) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/849-fig2.jpg
本文終わり   (homeへ)
パワポ http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/849-fig.pptx references will be note-849 https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/kotoba/uraomote/045.html NHK放送文化研究所HPより もうすぐ、七夕がやってきます。牽牛(けんぎゅう)織女の伝説では、天の川を隔てた男女をカササギが橋を造って取り持つということになっています。地上では、ササに願いを書いた五色の短冊を下げ、祭るのです。昔は裁縫や習字が上達するようにという願いが主流でしたが、現在は短冊にあらゆる願いごとが書かれています。 伝説の天の川は銀河とも呼ばれ、漢文では天漢、銀漢、雲漢、銀浪、星河などとも言われています。 「漢」は「悪漢、好漢」の漢ではなく「漢水」つまり長江の一支流を示し、上記の熟語では「川」の意味を表す漢字です。英語ではMilky Way(乳の道)といわれギリシャ神話に起源があります。 中国では「河、江、渭、淮」など1字で川を表すことがあります(黄河、長江、渭川、淮河のこと)。 ところで日本語では書くときに「天の川」か「天の河」どちらか迷います。 「川」はもともと谷川くらいの小さなものを示すので、「河」でなければならないという学者もいます。 当用漢字時代は「かわ」には「川」の漢字しかなく「天の河」は書けない漢字だったのです。常用漢字では「河」も認められましたが、厳密な使い分けが示されず、国内の河川名にも「川」だけが使われたということ、小学校低学年で七夕祭りを単元に入れて「天の川」の短冊を作るようになったなどさまざまな理由で「天の川」が優勢になったようです。 地酒・焼酎ブームでいろいろな名前の酒が出来ましたが、こちらは「河」を使うものが多くなっているようで、のんべえは「川」より「河」が好きなのかもしれません。