おうし座 (No. 860)
date 2025 02 15
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原稿内の[1]などは出典についての私のメモなので無視してください。
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冬の星座案内でもっとも話題が多い星座はおうし座ではないでしょうか(図1)。
紀元前から大事にされてきた星座です。
牛の顔の部分のV字型が特徴的で、
この形の象形文字から現在のアルファベットのAの文字ができました。[1]
ギリシア神話にも登場します。
物語は、ティルスの王アゲーノールの娘エウローペーに大神ゼウスが恋することから始まります。[2]
ティルスは古代フェニキアの都市で世界遺産に登録されています。
オリュンポス山からエウローペーをみていたゼウスは、
牡牛の姿となって彼女にに近づきました。
この牡牛は全身が雪のように真っ白で、目は優しく美しい角をもっていたので、
エウローペーは安心して背中に乗ってみました。すると牡牛は突然走り出し、
そのまま地中海を渡ってクレタ島まで連れ去ります。
エウロペはそこでゼウスの子を産んだと言われています。
今日のヨーロッパはこのエウローペーの名に由来しているそうです。[1]
おうし座をにぎやかにしているのはプレアデス星団です。
日本では「すばる」と呼ばれていて、
清少納言の枕草子に「星はすばる、」とこの星団を愛でる言葉が記されています。
別名に「むつらぼし」というのがあり六つの星が見えるのが普通のようです。
望遠鏡の写真を参考に位置を覚えておいて、
じっと我慢して見つめていると十個ほどの星が確認できるという話を聞いたことがありますがどうでしょう。
皆さんも試してみましょう。
牡牛の顔の部分であるV字型のところは、ヒヤデスという別の星団とアルデバランと
いう明るい星から成り立っています。
中国では畢宿とよびます。
月がヒヤデスにかかると雨が降るとされます。[1]
ギリシャでもヒヤデスは雨女の意味があるそうですが、[3]
二国間の意見が一致したのは偶然でしょう。
日本でも「あめふりぼし」とよばれています。
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図1 2月15日午後7時頃のおうし座(ステラリウムを用いて作図)
http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/860-fig1.jpg
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図2 エウローペーの故郷とクレタ島
http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/860-fig2.jpg
本文終わり (homeへ)
パワポ
http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/860-fig.pptx
reference
[1]星座の神話 ―星座史と星名の意味 原恵著、恒星社厚生閣, 1975
[2] 高津 春繁, ギリシア・ローマ神話辞典、岩波書店
[3]冬の星座博物館、山田卓、地人書館
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話題:
プレアデス星団
アルデバラン+ヒヤデス星団 が作るV字型
アルファベットのAは古代の中東地域のアルファベットの第一文字として牛の顔の小径文字からきている。
(ヘブル語、ギリシャ語、、、)[1]
4000年くらい前はここに春分点があった
BC150ころ引っ張るコスが春分点を決め第一星座として白羊宮(おひつじ座)とするよりずっと古く、
黄道十二星座が作られた頃の春分点はおうし座なので重要視されたと思われる。[1]
ペルシアや古代メソポタミア牛が神として崇拝された[1]
ムル・アピンでは 天の牡牛 [2]
ギリシア神話:
大神ゼウスは、フェニキアの王女エウローペが野原に咲き乱れる花を積んでいる姿を
はるかオリュンポスの宮殿から見初め、おうしの姿となってエウローペーに近づいた。
この牡牛は全身が雪のように真っ白で、目は優しく、美しい角をもっていたので、
エウロペはすっかりおうしに慣れて、とうとう背中に乗ってみた。すると牡牛は
女王をのせたまま走り出し、そのまま地中海を渡って、ギリシアの沖合のクレタ島
まで連れてきてしまい、エウロペはそこでゼウスの子を産んだと言われている。
今日のヨーロッパ大陸がこの女王の名を伝えている。
この牡牛はこのあともクレタ島にいて、のちにクレタの王妃にミノタウロスという
怪獣を産ませた。これを退治することになるのがヘルクレスである。[1]
アルデバラン=後に続くもの (プレアデスの)[1]
プレアデスの神話
ギリシア神話では,プレアデスはアトラスとプレイオネの間に生まれた7人の袋たちである。
アトラスはこそんじのように。天の柱を支えるという巨人で、娘たちは、
こうした交親の苦労に報いるため星にしてもらったという話もあり、
オリオンに追われたプレイオネを大神ゼウスがあわれんでその娘たちもろとも、
星にしたのだともいう。
プレアデスは7人の姉妹であったが、そのうちのエレクトラが、
その子孫であるトロイアの王家が亡んだ様子をみて悲しみ、
彗星となって姿を消したとも、またメロペが、地上の人の妻となったのを
恥じて姿をかくしたともいわれるように、現在のプレアデス星団は通常の
視力の人には6個の星が識別される。しかし各国でプレアデスを「七つ星」
と呼び、これに似た伝説もあるので、あるいは、
数千年前には7個が肉眼で見えたのかも知れない。[1]
「すばる」日本名について
江戸時代の国文学者狩谷棭斎(えきさい)(1775-1835)などによる説。
星々を糸を通してまとめたもの、「統(す)ばる」星の意味。
古事記に「五百津之美須麻流之珠(いおつのみすまるのたま)」
日本書紀に「須売流之玉(すまるのたま)」
アクセサリーの玉かざりのイメージらしい。
「すばる」としてみえるのは平安時代の国語辞典「和名類聚抄」(934)
清少納言の枕草子に出てくるのは有名。[1]
民間に伝わる名前は人気の星だけあっていっぱいある:
むつらぼし、はごいたぼし、(シンプルに)ごちゃごちゃぼし、、、
いっぱいあるので調べると楽しい。
ヒヤデス Hyades 発音はヒュアデス
ギリシア神話では、アトラスとアエトラの間に生まれた七人姉妹。
(プレアデスとは異母姉妹)
兄弟のヒュアス(Hyas)が野猪に殺された(毒蛇に噛まれて死んだ)のをあわれんで
(姉妹が自殺したのであわれんで)星にした。
意味は「子豚たち」
発音が「雨降る」という動詞のヒュエインに似ているので雨と連想されるのでは。[1]
ギリシア語の水 hydro と語源が同じ。例えば Hydrogen 水素は hydro(水)+gen(生じる)
中国では畢宿。月がヒヤデスにかかると雨が降るとされる。
プレアデスは普通6つ見える。
星図やよくとれた写真を参考にして形を覚えておいて、よーーくみると10個くらい見えるという説がある。
みかたとしては、ずっとみてそれを重ねていく、写真の露出時間を長くするという考えではなく、
大気の揺らぎが一瞬消える瞬間を見るようにするのが正しいアプローチ。
これは木星の模様をみたり、土星の輪の隙間を見つけたりするときも使えるテクニック
車の名前としての「スバル」
現在社名として、株式会社SUBARU