原始惑星系円盤 (No. 872)
date 2025 05 10
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原始惑星系円盤ということばが時々登場するので今日は少し説明したいと思います。
夜空に輝くほとんど全ての星のまわりに惑星が回っていることがわかっています。
また、銀河では今もたくさんの星が誕生し続けています。
ということは今生まれつつある惑星もたくさんあることになります。
生まれつある星(原始星と呼びます)をねらって巨大望遠鏡で観測すれば、
惑星のできる様子もわかるに違いありません。
威力を発揮したのが、
南米チリ共和国北部、標高5000メートルのアタカマ砂漠に建設されたALMA(アルマ)望遠鏡です。
これは電波望遠鏡ですが、惑星の元になるガスは電波を出すので電波望遠鏡で見るのが最適なのです。
非常に解像度が良いので視力に換算すると12万になります。
太陽系から近くて新しい星が今誕生している場所というのはいくつかあって、
有名なものの一つにおうし座の星形成領域というのがあります。
白羽の矢がたったのはおうし座HLという名前の星でした。
図1がALMA望遠鏡で捉えたおうし座HLという原始星とその周りの原始惑星系円盤で、
この円盤の中で惑星が誕生しようとしています。
この画像を少し解剖してみると図2のようになります。
原始星の周りの低温のガスは回転運動していて、原始惑星からの万有引力と遠心力がつりあった、
おおよそ円運動をしています。
ちょうど太陽系の惑星が回っているのと同じです。
ガスが円盤上ですが、その中であるきっかけがあってチリやガスが集まりはじめ、それが惑星の卵になります。
チリやガスを集めると周りにチリやガスがなくなるので図のようなリング状の空間が表れます。
つまり、図1の円形の暗い筋の部分に惑星ができてきていることになります。
原始惑星系円盤の正体は、その名の通り惑星ができる原始の状態ということですね。

図1 おうし座HL星のまわりの原始惑星系円盤
(提供: ALMA(ESO/NAOJ/NRAO); C. Brogan, B. Saxton (NRAO/AUI/NSF))
http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/872-fig1.jpg

図2 原始惑星系円盤の仕組み
http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/872-fig2.jpg
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http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/872-fig.pptx
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