飯館 (No. 886)

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date 2025 08 16
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福島県にある電波望遠鏡を紹介します。
東北大学大学院理学研究科惑星プラズマ・大気研究センターの惑星圏飯館観測所です。
佐藤文隆記念白鷹宇宙探検隊の体験学習として訪問しました(図1)。
小中学生7名とその保護者からなる探検隊です。

電波望遠鏡というと巨大なパラボラアンテナを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、
この望遠鏡はちょっと変わった形をしています。
バラボラアンテナの一部を短冊形に切り取ったちょうど手のひらのような形をしており、
これが反射鏡の役割をします。そこで電波が反射して集められアンテナで受け取ります。
アンテナからケーブルを引いて受信機に入ってきます。

観測所長の三澤浩昭教授から子供たちに
電波望遠鏡の説明がありました。
ここから普通ではない体験がはじまります。
電波は電気と磁気の作る波で、
波の変動を分析することで発生源の研究ができるのですが、
この変動を捉えるのが受信機であり、
変動が耳に聞こえるようにしたのがラジオです。
ラジオ局の電波の変動を耳で聞くと音楽や声が聞こえたりするわけですが、
宇宙からの電波の変動を耳で聴くとどんなでしょう。
まず、子供たちは小型の電波受信機を実際に作りました。
これはラジオとしても使えますが、受信機のアンテナ線を電波望遠鏡に繋げると、
宇宙からの電波の音を聴くことができるのです。

写真(図2)では、
三澤先生が手に持っている信号線に自分の作った受信機のアンテナ線を触れさせようとしています。
触れた瞬間に耳入ってくる音は宇宙からの信号なのでした。
きっと宇宙からのメッセージが子供たちの心に何かを残したことでしょう。

さてこの電波望遠鏡で研究のひとつは太陽からの電波で、
太陽表面での爆発現象を研究することができます。
また、木星で発生したオーロラなどの磁気圏の現象も観測しています。
私が研究しているパルサーの出す巨大パルス放射の観測もしていただきました。





図1 惑星圏飯館観測所の電波望遠鏡 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/886-fig1.jpg
図2 宇宙からの信号を聴こうとしているところ http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/886-fig2.jpg
本文終わり   (他の記事も読む)(homeへ)
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