星占いの気持ち (No. 888)

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date 2025 08 30 
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星空案内では、「何座生まれですか」という会話が定番です。
とても世の中に浸透している星占いですが、これはいつ頃からあったのでしょう。
確たる証拠としては「エヌマ・アヌ・エンリル」と呼ばれる星占いのマニュアルのような文書が出土しています。
紀元前2000年紀の古代メソポタミアのものです。
「金星がアイアル月に東方に出現し、金星が暗くなるとエラム国王は病気になり、
生命の危険が及ぶようになる」といった感じの記述が7000件も集めらています。
しかし、この頃の占いは国家の命運に関わるようなことです。
個人の運勢を占うタイプのものはだいぶ後で、古代ギリシアで起こり、ヘレニズム時代に流行りました。

誕生日で星座が決まって、それによってその人の性格や運命が決まるなんてとても科学的とは思えませんね。
しかし、古代の人の気持ちになると結構納得できるのでないかということに最近気がつきました。

例えば、こんな感じです。
天空のしし座があるあたりはパワースポットに違いない。。
その証拠にそれがわかるように神様は星をライオンの姿に似せて配置してくださった。
一年のうち、太陽がしし座のあたりに来ると地上の気温は上がり夏になる。
これは太陽がパワースポットに来たからである。

確かに、太陽がしし座のあたりに来るのは7月23日から8月23日あたりなので実際一番暑い頃です。
この頃生まれた人はしし座生まれとなります。
太陽は地上の自然に強大な影響力を持っていいます。
従って、その影響は人にも影響を与えるに違いない、だから、
しし座生まれの人にはしし座の性質が乗り移るのに違いないと古代の人は考えました。
星占いの本を見ると、しし座生まれの性格は
「権力志向が強くプライドが高い。
勇気があり、大胆率直。小さなことにこだわらずおおらか。」などと書いてあります。

しし座生まれということは結局夏に生まれたということに他なりません。
すると、これと似た考えが日本でも昔からやっているような気がします。
「夏に生まれた子は、赤ちゃんの時外に出ている期間が長いので、
活動的な性格に育ちやすい。」
素朴な考え変え方が集まって星占いのベースになっているのでないでしょうか。
科学的根拠はないけれど参考にできることもあるという感じで捉えててはどうかと思った次第です。







図1 星占いの記録が残る粘土板(大英博物館蔵 © The Trustees of the British Museum) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/888-fig1.jpg
図2 「夏に生まれた子は活動的な性格になる」 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/888-fig2.jpg
本文終わり   (他の記事も読む)(homeへ)
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