第二の地球探し(TRAPPIST-1) (No. 891)

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date 2025 09 20
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TRAPPIST-1という星はみずがめ座にあって、
その周りには少なくとも7個の惑星が回っていることが確認されています(図1)。
その中でも4番目のTRAPPIST-1e は地球に非常に似ている星として注目されています。
半径は地球の0.9倍、質量は地球の0.7倍です。
中心の星からの距離は地球ー太陽間の距離の34分の1しかありませんが、
中心の星は太陽の7割程度の質量で表面温度が2600度と太陽の6000度より低いので、
これくらい近いところがちょうど地球と同じような温度になる位置なのです。

ここを最新のジェームス・ウエブ宇宙望遠鏡で観測した結果が発表されました。
中心星TRAPPIST-1の前をTRAPPIST-1eを横切る時の光の変化から、この惑星に大気があるかどうかの診断をします(図2)。
残念ながらこの結果から結論は出せませんが、
図2を見ると、
大気が無いとは言えないけど、何かありそうという感じがします。

惑星には最初水素やヘリウムの大気があると考えられますが、
太陽に当たる中心星からの光が強いとそれは吹き飛んでなくなります。
地球もそうでした。

次により重い二酸化炭素などの2番目の大気が残るかどうか、水蒸気があるかなどが興味の的です。
TRAPPIST-1はフレアなどの爆発現象を盛んに行なっています。
そのために、2番目の大気も吹き飛ばされていても不思議はない状態です。
また、フレアーなどが多いと、
中心星の光を差し引くという微妙な操作に不確定性が出てきます。
このために2番目の大気の診断がとても難しくなっています。

TRAPPIST-1eの軌道からすると海が星全体を覆っているかもしれません。
また、自転と公転周期が同じなのでいつも昼のところといつも夜のところができているので、
夜側を中心に氷に覆われているかもしれません。
これらはまだ予想に過ぎませんが、水蒸気や海に含まれる他の元素成分が第二の大気になっているかも知れません。
いずれにせよ今後の観測に期待が持てます。

この様に色々わかってくると、惑星が宇宙にできるのはごく平凡なことで、
地球もそんな中の一つに過ぎないのだなと思えてきます。


図1 TRAPPIST-1惑星系(bからhまで7個の惑星が回っている)(提供:https://science.nasa.gov/exoplanet-catalog/trappist-1-e/) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/891-fig1.jpg
図2 TRAPPIST-1eの大気の有無を調べるためのデータ(提供:NASA) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/891-fig2.jpg
本文終わり   (他の記事も読む)(homeへ)
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