惑星のまわりに生命の種? (No. 898)

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date 2025 11 08
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夜空に輝く星々のほとんど全てがその周りに惑星をもっていることは以前に紹介しました。
そして今度はその惑星の周りの衛星ですごいことが見つかったという話です。
これは、10月1日にアストロフィジカル紙にクーニョさんとグラントさんにより発表されました。

対象になったのはカメレオン座CTという星です。
この星は赤ちゃん星で、核融合反応で光り輝く前段階の星です。
625光年も離れたところにあります。
人類最強ともいわれるジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡を使うと、
この星の周りには木星のようなガス惑星「CT Cha b」がちゃんと分離して見えます(図1の右下の枠内)。
この惑星の周りにはガス円盤が取り巻いていることがわかります。
惑星周円盤と呼びます。
この円盤の中で衛星がつくられていると考えられています。
私たちの太陽系で言うと、
木星の周りにはガリレオ衛星とよばれる4つの大きな衛星と
それ以外に小さな衛星が数十個回っていますが、
このようなたくさんの衛星を作る元になったのがこの惑星周円盤です。

ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡をつかってこの惑星周円盤の成分を分析したのが今回の研究です。
星を作るガスや惑星を作るガスでは炭素に比べて酸素が優位なのが普通です。
なので、ガスが冷えて分子をつくると水はいっぱいできますが、炭素を骨組みとする分子は見つかりにくいものでした。
惑星に生命がいるかもしれないと言う期待からすると炭素を含む分子を見つけたいですね。

驚いたことに、
その炭素を中心とする分子が惑星周円盤をみるといっぱいあったのす。
図1はその証拠となる分子のスペクトルです。
実際に確認された分子の例を図2に示しました。
惑星周円盤の気体は炭素が主成分で逆に水が見当たりません。
水は液体の状態で円盤の中にあると予想されています。
惑星周円盤は数百万年程度の時間でできたようなので、
結構早いペースで炭素を含む分子が作られていくと言うことです。
こうなってくると、生命につながる分子も早いペースで宇宙で作られるかもと思えてきます。
今後の研究には目が離せません。




図1 カメレオン座CT星の惑星周円盤の分析結果 (出典:アストロフィジカル誌 991巻L49, G. Cugno and S.L. Grant) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/898-fig1.jpg
図2 見つかった分子(提供:NASA, ESA, CSA, STScI) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/898-fig2.jpg
本文終わり   (他の記事も読む)(homeへ)
パワポ http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/898-fig.pptx pptx CT Cha カメレオン座にある T Tau型星 0.9 M_sun CT Cha b R=2.2R_J R_orb=507au (projected) 14-44 M_J C2H6 Ethane エタン C2H2 Acetylene アセチレン HCN Hydrogen Cyanide シアン化水素 C6H6 Benzene ベンゼン CO2 C3H4 Propyne プロピン メチルアセチレン C4H2 Diacetylene ジアセチレン H2O water シアン化水素 メチルアセチレン アセチレン エタン 二酸化炭素 ベンゼン 星の周りの円盤、惑星大気にくらべて衛星円盤ではCarbon rich 100万年で炭素を含む分子がつくられる。