月の高さ 最近見る月は地平線に近いと思いませんか。 夜空を見る機会が多い時間帯は日没から寝るまでの時間 ですから、この時間帯で見る月は三日月から上弦 (西側 がまるい半月)そして満月まです。このような月齢を見る とすると、秋に見る月は地平線近く低いという性質があり ます。逆に春の月は高く見えます。 図1には上弦の月の見える様子を秋(2009年8月27日や9月 26日)の場合と春の場合(2010年3月23日)について描いて います。いずれも午後7時頃です。秋の月は地平線から 20度くらいで大変低く、春の月は70度位で大変高くなり ます。太陽の高さは夏至のころ高く、冬至のころ低くな ることは充分に体験しています。同様に月がどのくらい 高く昇るかも季節変化があります。月はひと月の周期で 天球上をひとめぐりするので月齢のことも考えなくては ならず、太陽のときよりもちょっと理解が難しいかもしれません。 上弦の月を考えましょう。太陽が西の空に沈んだころ、 月の位置はというと、南の空で、太陽から東にむかって かって90度くらい離れた位置です。この位置はおよそ3か 月後に太陽が移動する位置、つまり、冬に太陽がいる位置 なのです。冬の太陽がいる位置は低いのでしたね。星座で いうとさそり座やいて座の位置です。星座の中で太陽の移動 する道筋を黄道といいますが、月の通り道もこの黄道と似 ているということがポイントです。 一方、春の月は、太陽が夏いる位置、つまり、地平線から 高い位置にいます。星座でいうとおうし座やふたご座のあ たりです。 太陽と月の位置関係がこのように季節によって変わるため に三日月にもおもしろい事が言えます。三日月を杯(さかづき)に 見立てると、春の三日月にはたくさんお酒が注がれた状態です(図2)。 一方、秋の三日月は、杯をかたむけてしまった状態です。 月の位置や角度にも季節感があるのですね。 最後にクイズです。満月がもっとも天空上高い位置に輝く のはどの季節でしょう。春でしょうか、夏でしょうか、秋 でしょうか、それとも冬ですか。 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/97-fig12.ppt 図1 上弦の月の季節による高さの違い(午後7時ころの様子)。 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/97-fig1.jpg 画像をクリック(拡大) 図2 三日月の季節による傾き(午後6時頃の様子)。 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/97-fig2.jpg 画像をクリック(拡大)