シリウス深掘り (No. 914)

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date 2026 03 07
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日が沈んで暗くなると南の空の低い位置にやたらと明るい星が目に飛び込んできます。
おおいぬ座のシリウスです(図1)。
頭上に近い位置にもっと明るい星が見えますがこれは木星なので間違えないようにしましょう。
シリウスの名はギリシャ語で焼き焦がすものという意味で、全天で一番明るい恒星です。
このような説明は多くの星座解説の本に出ていますので、今日は別のアプローチで深掘りしてみましょう。

中国では天狼星と呼んでいます。
鋭い目で獲物を狙う狼のイメージでしょうか。
面白いのは、この天狼星の南側にある一群の星々に対して
中国では弧矢(こし)という星座を設定していることです。
弓の形をイメージしているのです(図1参照)。

ここで目を古代メソポタミアに移します。
紀元前1000年以前の古い星座のリストであるムル・アピンという文献をみてみましょう。
これは紙ではなく粘土版に刻まれたものです。
そこには、おおいぬ座の位置に
弓(ムル・パン)と矢(カク・シ・サ)という星座が設定されています。
括弧内の読み方はシュメール語です。
中国もメソポタミアも同じ発想です。
中国の星座は西洋の影響を受けずに独立に作られたと考えられています。
しかし、
いわゆるシルクロードと呼ばれる交易路はさらに古い歴史を持つものであることが最近はわかってきています。
もしかしたら、互いに影響し合ったのかもしれません。

時代は下って、
クレオパトラがいた時代(紀元前50年頃)のエジプトの「デンデラの黄道帯」と呼ばれる砂岩のレリーフが
あり、そこも注目です(図2)。
しし座、かに座、ふたご座がわかると思います。
その南西側に、弓を持つ女性が描かれています。これが弓の星座。
そしてその横に、頭に星をいただく雌牛が描かれています。
この星がシリウスだと考えられます。
さて、この弓と矢が、おおいぬに変わったのはいつのことでしょう。






図1 今晩7時頃の南の空 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/914-fig1.jpg
図2 デンデラの黄道帯(ルーブル博物館蔵、撮影:藤原智子) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/914-fig2.jpg
本文終わり   (他の記事も読む)(homeへ)
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